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第200回 相場観再検討<10/7>

 9月初旬に日経平均がザラ場で9000円を割って以来、私は日経平均の9000円前後は底値になる可能性が高いと考えてきました。
 その前提条件は、銀行株の堅調と米国のハイテク株の底入れということでしたが、先週「かたずを飲んで」「祈るような思いで」「まんじりともせず」見守った米国相場がますます軟弱化し、日本株も強烈な外人売りに見舞われ、銀行株を中心に全面安の相場に突入しました。

 現時点で、希望の余地があるとすれば、先週末の時点ではまだ米国のSP500指数が7月安値よりぎりぎり上にあることと、三井住友など銀行株の多くと低位株の多くが安値を更新していないことでしょう。
 あと付け加えるとすれば、米国は深刻なデフレ化に入る前に金融緩和策を出す余地があること、日本の不良債権処理は、政策として行われる限り、一部の企業にとっては最悪の事態であっても、全体としては悪いことばかりではないはずだということです。

 日本株の真の底がいつになるか、今までの想定がまったくご破算になったような現状ですが、どんな相場も下げっぱなしということはないはずですから、最悪に見ても、日米の政策が明らかになる10月中には当面の底が訪れると考えるべきだと思います。下値のめどについては、個別ではぶれがあっても、平均すれば10%位のものと考えます。
 根拠は、米国の半導体株指数があと10%下がれば、今年の3月高値から半値8掛2割引(32%)になり、半導体産業が崩壊するのでない限り、値頃感が台頭すると考えるからです。
 
 しばらくはまだあえぐような日々が続くのでしょうし、仮に当面の底が入ったからといって、米国株の先安感が完全に後退するわけではなさそうですが、とりあえず目先の下落幅は大きくはないということを念頭において、急落時の安値を売り叩くことだけはしないつもりです。


第199回 まんじりともせず<10/2>

 先週末の米国相場に祈るような思いで「もしかすると、来週は久々に安堵できる局面に入れるのではないかと期待しています」と書いたのですが、結果は逆になり、昨日は日経平均も再び9000円に接近、昨夜は台風の中で仲間と飲みながらも憂鬱でした。
 一晩明けてNYダウがようやく346ドルの反発、天気も秋晴れ、今日は久々に少し明るい気持です。日経平均の上昇は数十円程度と、日本株の動きだけを見ているとまた憂鬱にもなりますが、私は目下注目しているのは、米国株が底入れ感を鮮明にするかどうかなので、日経平均の多少の上げ下げに一喜一憂しても仕方がないと割り切っています。

 米国の株価の先行きには依然警戒感が強く漂っていますが、私はおそらく昨夜の反発で底入れしたのではないかと考えます。底入れしたのであれば、当面の米国市場は陽性の動きをするはずだと楽観しています。逆に言えば、今夜以降の米国市場がぐずつき、昨夜の上げを打ち消すような動きをするのなら、今度こそ米国株の先行きについて根本的に考え直し、日本株も含めて弱気に転じなければならないとさえ考えています。

 NYダウがというより、日本に影響の強い半導体株指数が今夜続伸できるかどうか、まんじりともせず明日の朝を待つことになりそうです。


第198回 祈る思い<9/27>

 日経平均が今月初めに9000円割れとなって以来、信用顧客に追証が出始めたこともあり、緊張を強いられる毎日でした。
 ただし、もしかすると、来週は久しぶりに安堵できる局面に入れるのではないかと期待します。
 今日の相場はまだ始まったばかりですが、昨日に続いて銀行・証券が買われ、国内株への安心感が高まりつつあることを示しています。一方、ハイテク株は、昨日、米国高にもかかわらず伸び悩み、不安感の根強さを示しました。今日も今のところ上値の重い展開ですが、米国で通信関連が急落、半導体も3%の反落となったわりには、まずまず堅調と評価できるでしょう。

 ここまで書いたところで、銀行株が先週木曜日の水準を上回ってきました。みずほが再び29万円です。ここまで来れば、今月初めの安値20.4万円が2月安値に対応する絵に描いたような二番底になった可能性大といってもいいでしょう。市場には、安値をつけたとしても、大きくは上がれないし、大幅減資の可能性だってあるという弱気意見も多いようですが、長期的な底入れを果たした株の上値は、当初の想像を絶する場合も多々あるという過去の経験を尊重すべきだと思います。(例えば、98年に250円台まで売られた富士銀行のその後の推移、ネットバブルの中でぼろぼろに売られた石川島や同和鉱のその後の推移は、株の評価がいかに様変わりする余地の大きいものであるかのいい証拠です)

 とりあえず、銀行株を中心とする国内株に不安がなくなったとすれば、後は何度も書いてきたようにハイテク株に底入れ感がいつ鮮明化するかです。
 多少希望的かもしれませんが、私は今夜にも米国で底入れ感が出てくるのではないかと考えます。
 理由の第一は、昨日のノーテルで、第3四半期の業績見通し修正は一巡したのではないかと考えられることです。主要企業でウォーニングを発すべきところは月内に発するはずで、後は来月後半の決算発表まで重要なコメントは企業側から出ないのが普通でしょう。
 下方修正のニュースへの不安が薄らげば、株価の水準に対して冷静に強弱感が対立するようになるはずで、そうなれば、割安という見方が大きく台頭すると私は考えます。

 以上のような立場から、私は今夜のアメリカ市場の帰趨を祈る思いで注目しています。


第197回 かたずを飲んで<9/25>

 NYダウが終値で安値更新となり、今日も非常に厳しい相場が予想されます。
 わずかな期待は、米国の半導体株が久々に小反発となったことです。今年の3月には640pだった半導体株指数が230p台まで下げ、通常の経済が続くなら、いくらなんでも下げ一巡感が出ておかしくないでしょう。
 日本でも半導体製造装置のアドバンテストが5000円を割れ、去年のテロ直後の安値も下回りましたが、上場して20年の値動きを見る限り、ここからは安値ゾーンに入ってきます。

 問題は通常の経済が続くかどうかです。
 通常の経済とは、景気の振幅を別として、構造的には縮小に向かわない経済のことです。
 もし米国経済が日本のような構造的な縮小に陥れば、世界経済全体が同じ運命をたどるでしょう。
 現在の米国株の市場を覆っている不安感の根源はここにあると考えます。

 端的に言えば、世界経済がそう簡単に縮小に向かわないと割り切れば、今は絶好の買い場であるはずです。
 米国の足元の景況が警戒的な様相であっても、通常の景気振幅の範囲内であれば、来年はシリコンサイクルからハイテク製品の需給改善が見込まれ、その後も長期的に世界経済が緩やかな拡大基調を持続すると考えれば、現在のハイテク株の株価は非常に魅力的な水準です。
 米国の半導体株指数が控えめに今年高値の半値の水準に戻ると考えても、時価からは35%の上昇であり、半導体関連株の上値魅力は相当にあると考えます。

 そんな考えで、今日はNECとアドバンテストに恐る恐るの買いを入れてみることにしました。

 ところで昨日、TDCソフトと合同製鉄が減額修正で下げました。TDCソフトの場合は、1株利益が140円から90円の予想に引き下げられ、今の地合いでは急落もやむをえないと考えます。この業績鈍化が傾向的なものにならないという保証はないのですから。
 一方、合同製鉄については、中間期段階での経常利益の減額は許容範囲内であり、原料価格と製品価格のタイムラグから、ある程度は予想できたことです。下期は、原料価格一服、製品価格値上げ浸透で、当初の予想通り2ケタの1株利益と復配が可能な状況と私は考え、100円以下は安いという見解を継続しています。

 いずれにしても、米国のハイテク株の下げ止まりをかたずを飲んで待っています。


第196回 日本株離陸の条件<9/20>

 いま日経平均は100円安、米国株の7月安値接近を考えれば、まだしも小幅な反落ですんでいます。
 昨日の銀行株の急騰は、まさにポジティブ・サプライズでした。日銀の発表もさることながら、それを受けた銀行株の値の軽さは驚くべきものです。保有株の買い取りでこの反応ですから、もしも不良債権の買い取りが部分的にでも政策化されれば、どのくらい値を戻すのか逆に恐ろしくなるほどです。
 日本の在来産業株は、持ち合い解消売りで需給関係が悪く、かつ先行きへの期待がなさすぎる、だから、上値が重いという一般的な見方は再検討すべきなのではないでしょうか。

 今日、銀行株は反落していますが、これは銀行株自体の上値が重いせいというより、市場が全体相場の先行きに依然懐疑的であるためでしょう。私も、日経平均が1万円を超えるのは容易ではないと感じます。そのような中で、銀行株だけに昨日のような強気が継続したら、それこそ気違い沙汰です。
 ただし、日本株の上昇転換への鍵となるのは、このところずっと書いてきたように、銀行株とハイテク株の双翼が少なくとも下値不安を消し去ることですが、その一方の翼のエンジンが動き出し、スタンバイの体勢になったことは確かだと思います。
 問題はいよいよハイテク株、つまるところは米国株の下げ止まりがいつになるか、それとも底割れしてしまうかに絞られてきました。日本株の米国離れを期待する声もありますが、ただでさえ疑心暗鬼のいまの市場で、仮に米国株の深刻な下げが続いた場合、それを横目に日本株だけ上がるということはまったく考えられません。

 今夜および来週前半の米国の相場は正念場だと思います。7月末に急落して、その日のうちにもう反騰したセリング・クライマックスの水準に近づいてきました。
 市場には、今月中は反転できないのではないかという意見が多いようですが、もしそうなら7月安値を下回ってしまい、日本株への影響は避けられないでしょう。
 私は、半導体株指数がとうとう250pまで下落したこと、これは今年の高値から39%(2年前の高値からは18%)の水準であることから、ここからの大幅安が考えにくいという見解を継続しています。

 米国株が下げ止まれば、日本株は悪材料を織り込んだ状態となり、買うべき理由はあとからついてくると私は考えます。


第195回 達観への道<9/18>

 昨日の上げでようやくハッピイな相場への道が見えてきたと思いましたが、朝起きてがく然としてしまいました。
 いま日経平均は200円安、問題の9000円にはまだ距離がありますが、昨日の上げがトレンドの転換につながらないとすれば、容易なことでは本格上昇が望めそうもなく、気持はきわめてブルーです。

 再三書いていますとおり、問題は米国経済をどう考えるかに尽きることは明白です。あるいは、ハイテク製品の需給を中心にした世界経済の先行きをどう考えるかといい換えても同じことかもしれません。あるいはさらに、2年前のネットバブルが、米国の繁栄に数十年に一度の規模での止めをさしたものかどうか、といい換えてもいいのではないかと思います。
 悲観的に考えれば、米国の経済調整は長引き、日本のバブル崩壊後のように構造不況の様相を呈するのかもしれません。おのずから世界全体に停滞の気分が色濃くなり、シリコンサイクルなど通常の経済サイクルは通用しなくなるかもしれません。
 しかし、楽観的に考えれば、そんなことは起こるはずがないといえます。米国経済は短期的には景気再鈍化の兆候を示していますが、あくまで7〜8月の回復が若干思わしくないというレベルであり、日本のように不況色が深刻に顕在化しているわけではありません。昨年の米国株は今春の景気底入れを先見して10月から急回復したのですが、今年もそろそろ足元の不調を売る相場から、来年の好調を買う相場への転換が期待できるかもしれません。

 未来のことはだれにも分かるわけではないので、悲観的に見るか、楽観的に見るか、人それぞれに選ぶしかありません。
 私は、ほぼ楽観的に近い立場を選んでいます。完全に楽観的ではないのは、米国経済の回復はやはりそう強いものではなく、米国の株価の先行きにそれほど期待できないだろうという点です。
 米国の株と経済のソフトランディングはまだまだ時間のかかることだと考えます。
 一方、日本の株と経済は、米国の着地がソフトなものである限り、米国とはおのずから違うトレンドにあるはずです。
 私は、日本の株はハードランデングをすでに終え、離陸をうかがう時期に入ってきていると考えます。

 去年の12月は、日本の中低位株にとってセリング・クライマックスだったのではないでしょうか。
 そのときに92円まで売られたミノルタが今日は増額修正で逆行高、6月高値に迫る400円までつけてきています。そのときに58円まで売られた丸紅は、140円台で今日もしっかりです。
 リバウンド率が高いのはごく少数の銘柄で、多くの銘柄は安値水準であえいでいます。しかし、戻りが鈍いからといって、必ずしも底打ちが完全ではないとは限りません。例えば銀行株は、バブル崩壊後いく度となく急落し、そのたびに目覚しい戻り相場を演じましたが、今年2月以降はそれに比べると随分上値の重い状況ですが、だからこそ逆に、今度こそ正真正銘の底をつけた可能性はかなりあると思います。

 米国株のソフトランディングと日本株の遅々とした離陸を基本想定として、当分は焦らず滅入らずやっていくしかないと考えます。


第194回 SQ通過<9/13>

 先ほどSQ値が決まりました。日経平均で200円も下がって「無事」というには語弊があるかもしれませんが、とりあえず常識的な値幅の下げに止まり、ほっとしています。
 これで、国内的には、当面の不安材料がなくなりました。来週からの9月後半において、需給関係の好転が見込まれます。
 したがって、焦点は米国株の動向です。米国株に大崩れがなければ、日本株の底打ちが非常に有望な情勢だと思います。

 今日の日経に、米国経済についてのエコノミストの意見が集約されており、米国経済に「イラク不安」があるものの、「底割れ否定が大勢」となっています。
 我々は米国株を買おうとしているのではないので、我々の切実な関心事は、米国経済が急回復する可能性がどのくらいあるかではなく、悲劇的な底割れに至る確率がどのくらいあるかです。
 再三述べている通り、通常の経済振幅の範囲内なら、米国株はすでに下げても下値が限定的と思える水準にあると考えられます。例えば、半導体株指数は再び安値に接近していますが、すでに3月から半値8掛けに近づいており、これ以上の下げは通常の経済のもとではありえないと思われます。
 だから、怖いのは、悲劇的な底割れを株価が織り込みにかかることですが、現状では米国の株式市場がただちにそこまで悲観的な見方に傾くとは到底考えられません。
 もし米国経済のソフトランディングに対して悲観的な見方が大きく台頭するとすれば、来年の2〜3%成長予想を覆すようななんらかの弱気材料が出現したときと思われ、それは少なくともまだ先と思われます。
(イラク問題が米国経済の底割れへの弾き金になるとは私には思えません)

 結論的に、私は日本株が、特に銀行株など国内型在来産業株が大勢的な底入れを果たした可能性は日に日に強まりつつあると考えます。
 ただし、個人投資家は総体としては、下値にコツコツと買いを入れ、結果として週間で1000億円以上の買い越した形となっていますが、株にロマンを求め上値を買うタイプの積極投資家は、資金も気持もズタズタの状況です。おそらく積極的な投資マインドの復活には時間がかかると思われ、当面は、個別の株価を見れば、情けなくなる状況が続くかもしれません。
 ほんの一例ですが、5月に1800円台で安いと思って勧めたTDCソフト(4687)が予想1株利益140円に対して、今日とうとう1300円を割りました。減額修正はしていないはずですし、安定的に拡大が望める業容からは信じられない株価です。
 実質地合いの改善はまだまだ少しずつしか期待できないと覚悟すべきなのでしょう。


第193回 真の底と仮の底<9/10>

 ある方からメールをいただき、これから日本株が反転上昇するとしても、それは仮の底であって、まだまだ日本の株が真の底をつけるまでには何年もかかるだろうという見解が述べられていました。
 その方は、仮の底であっても、戻りの局面なら割り切って買えばいいし、反転すれば売ればいいという臨機応変の考え方のようなのですが、私の投資スタイルでは、もし底をつけていないと考えるなら、買いから入ることに二の足を踏んでしまいます。
 特に今年に入り平均株価とともに諸株がひとからげの動きをする傾向が強まっており、その方のように出来高などを重視した銘柄選択をするなら別かもしれませんが、ファンダメンタルズ重視の場合、平均株価が下がったという理由だけでがさっと大幅安になるのを見ていると、どんなに気に入った銘柄でも買うのが怖くなってしまいます。
 だから、日本株がいつ大底をつけるのかの大勢観は、私にとって死活問題です。

 今日の株式市場新聞に、著名なテクニカルアナリストである佐々木氏の見解が紹介されています。10〜11月に日経平均8500〜8000円で大底を打ち、それがバブル崩壊後の最終的な底となるだろうというものです。
 確か2月の安値近辺でこの人の講演を聞いたとき、6月に底を打ち、それが歴史的な大底となり、以後紆余曲折を経ながら40年間の長期上昇波動を形成するといっていたはずなので、その大底が延びたということなのでしょうが、今回の見解は多くの投資家の見方とほとんど変わりがなく、この人にしては凡庸な見解だと感じました。
 それに、ではどうすればよいかがよく分かりません。新しく株を買うなら10月以降がよいということなのでしょうが、持っている株はどうすればよいのでしょうか。8500円で止まるのならいっそ持っておきたいし、8000円まで下がるなら一度売っておきたいと感じます。
 すなわち、目先の相場動向も今はやはり私にとって死活問題です。

 要するに、現在のような急落中の相場状況の中で、我々一般的な感覚で投資を行うものにとって、問題は次の2つです。
  @大局的に見て日本株は安全な位置にあるのか
  A目先の落勢にストップがかかる可能性があるのか
 このところの私が日経平均9000円が底になる可能性にひどくこだわっている理由はここにあります。
 しかも、私の考えでは、現在の状況の中では上記の@とAの問題は、実はかなりの程度で重なり合っていると思うのです。
 すなわち、もし10〜11月に日経平均が8000円に下落するとするなら、そのときは米国か国内でたいへん深刻な事態が生じているはずです。米国株の再急落か国内の金融システムの揺らぎです。はたして、そのようなときに「40年に1度の買い場」だと株を買うべきでしょうか? 私はよほどハプニング的な下げでない限り急いで買うべきではないと思います。

 米国株はソフトランディングの方向にあり、下値を切り下げるとしてもまだ先と見られます。一方、国内の金融システムは安定しており、景気も小康を保っています。
 その2つの条件が揃って、現在の日本株は底堅さを発揮しているのであって、そのいずれかの前提が覆れば(特に米国株が再急落した場合)、到底そこが日本株の買い場になるとは思われません。
 日経平均が今週中9000円を保てるかどうかは、おそらく日本株の大勢動向にかかわる重要なポイントだと私は考えます。
 もし保てば、日本株、特に大勢二番底をつけた形になる在来産業株に下値安心感が大きく浮上するはずです。


第192回 下値の検討<9/6>

 今日は米国株の下げで、日経平均で再び9000円の攻防となってしまい、市場には下値8500円、あるいは8000円という見方が増えつつあるようです。
 4日の日経平均ザラ場安値8995円が大底になるのではないかという期待は、わずか二日で吹っ飛びましたが、それでも9000円の水準で底値を形成する可能性はまだ十分あります。
 前回に続き、平均株価の下値について考えたいと思います。

 私が平均株価の大きな下値の切り下げがないだろうと考える理由は、
  @米国株の当面の下げは限定的ではないのか
  A国内の在来産業の株価は、去年の12月もしくは今年の2月に、大勢的な底値をつけているのではないか
 という二点です。

 まず@については、米国の半導体株指数が275pと新安値に落ち込みましたが、3月の高値640p前後からはすでに57%の下落となっており、短期的にはもはや大きな下げを考えにくい状況ではないかと思います。ファンダメンタルズから見ても、たとえばここにきて下落の先導役となったインテルは現在進行中の四半期の予想1株利益を年率に換算して、ほぼPER30倍の水準であり、一般の銘柄よりは高いPERではあるものの、来年は通常のシリコンサイクルから回復確率が高いことを考慮すれば、割安感があるというべきです。
 もちろん、これから世界大不況が来て、シリコンサイクルも吹っ飛ぶというような極端な悲観説をとれば、PER30倍だから安いというようなことはいえないのですが、そのような極端な悲観が米国市場を支配する状況がすぐにやってくるとは到底思われません。
 現在の米国相場は、ハイテク市況の回復の度合い、あるいは景気の来年春にかけての二番底懸念をめぐって常識的なレベルで強弱が対立しているのであって、経済の底割れを本格的に想定する投資家は少なくとも現状では少数だと思います。
 米国のハイテク株の下げが限定的なものだとすれば、収益のうえからは下値めどをつけにくい日本のハイテク株といえども下値は限定的と考える次第です。

 一方、国内関連株については、今回とりたてて新しい悪材料がなく売られていますので、昨年12月もしくは今年の2月に対応する単なる売り直しであり、やや下値を切り上げた形での二番底を形成する可能性が高いと考えます。
 その代表は銀行株であるといってよいでしょう。
 4日に、みずほが20.6万円まで売られましたが、これが2月安値19.8万円に次ぐ二番底になる可能性はきわめて高いと考えます。
 金融危機が叫ばれた2月頃に比べれば、銀行を取り巻く環境はきわめて安定しています。銀行株に新しい悪材料があるとすれば、日経平均の安値更新による評価損の拡大ですが、2月当時のように険悪なムードが漂うほどの懸念材料とは考えられません。
(銀行株が下がればさらに在来産業株が下がり、在来産業株が下がることによりさらに銀行株が急落するのではないかという悪連鎖への不安感は、ここでは無視します)
 銀行株の場合、妥当な価格はいくらかを論じても無意味で、なぜみずほが20万円以上でなければならないかを論証することは困難です。ただし、感覚的には相当な確率でいまが二番底形成中と考えます。
 株価の動きだけ見れば、丸紅はここに来て下げましたが、依然として昨年12月の58円安値を基点に堂々たる上昇波動に揺らぎがありません。丸紅に限らず不安感で徹底的に売られた低位株のうち、収益性に期待にある銘柄の底堅さが目立ちます。
 銀行株と国内の在来産業株はすでに長期的な大底をつけて、上昇相場への移行を模索する過程あるのではないかと考える次第です。

 以上のような考え方により、私は日経平均9000円がおおまかな下値になる可能性が高いと考えます。
 もちろん、米国経済に根本的な動揺が直近に起こる可能性がないのか、あるいは国内株に下げの悪連鎖が起こる可能性がないのか、といわれれば、それを完全に否定することは不可能です。
 ただし、株価が最安値をとっているようなときは必ずつきまとう性質の不安であり、その杞憂に近い確率のリスクをどう割り切れるかは、投資家個々の問題でありましょう。


第191回 ついに下値試し<9/3>

 いま日経平均は9320円、ついにボックス下離れの動きとなりました。
 平均株価が安値更新となっても、顧客も我々もいつものような緊張感や悲壮感が漂いません。上に行かないものなら、下に行くしかない、もうどうにでもしてくれという、やけくそみたいなあきらめが色濃く漂っています。
 朝方は比較的堅調だった銀行株の下げが目立っています。平均株価の安値更新で、銀行株が2月安値から随分高いところにいることが急に意識されたものでしょうが、この下落基調が続くかどうかが、日本株の当面の下値を決定する重要なポイントになるのではないでしょうか。

 2月安値は、国内の金融システムへの不安を織り込んで形成された安値です。
 それに対し、6月以降のこれまでの下げは、米国経済への不安を織り込んでハイテク株を中心に売られたものです。
 もし銀行株が2月安値更新の方向に進むなら、ハイテク株の水準は2月よりもはるかに低いので、平均株価では大幅な下値の切り下げになるはずです。
 さらに悲観するなら、連休明けの米国株が軟調で、先週末安値に接近して終わった半導体株指数が安値更新となるなら、日本の半導体株も一段安が避けられず、その動向に強い影響を受ける日経平均が急落し、それが国内株の一段安につながっていくという悲劇的な状況さえ想起されます。

 しかし、冷静に考えれば、そのような悲劇的な展開になる可能性はほとんどないと思われます。まず米国の半導体株が仮に新安値に売られても、目先的には、もはや大きく下値を切り下げるとは考えられません。NYダウの7月安値が仮に本当の底ではないとしても、米国経済への信頼が土台から揺らぎ、目先的に大きな下げを演じるとは考えにくいのと同じ論理です。(本格的な下げがあるとすればまだ先でしょう)
 銀行株をはじめとする国内株についても、2月のような悲観、つまりみずほや丸紅の破綻さえ懸念する人が多く存在するような極端な悲観市場が、そう簡単に再来するとは考えられません。
 すなわち、ファンダメンタルズからは、少なくとも当面において下値を劇的に切り下げる要因はないはずです。

 とすれば、目先的にどのくらい下値を切り下げるかを決定するのは、先物を中心とする指数取引の需給関係のみと考えてもよいと思います。
 悪名高い日経平均リンク債の思惑も今回は存在しないので、純粋に先物やオプションの需給関係だけで動くと考えれば、ズバリ下値切り下げによるターゲットゾーンは、9月13日のSQまでは、9500円売りの9000円買いに落ち着く可能性が高いのではないかと予想されます。
 現物取引の感覚では、1か月強にわたる大保ち合い相場の帰結がわずか5%未満の下値切り下げに止まるとは到底思えませんが、もともと現物取引の感覚で説明しにくい相場状況が続いていたのですから、違和感は無視すべきと考えます。

 当面は上下ともたいして動かないという想定を基本としたいと思います。問題はSQ後にどう動くかです。
 それを決定するのは、(国内株に極端な悲観が再来しないことを前提にしていますので)
いうまでもなく米国株の動向だと思います。
 今日の株式市場新聞に、ドイツ証券の武者さんの「日本株は悪材料をほとんど織り込み済みである反面、欧米株式の暴落が続くと予想されるため、相対的に日本株は有利だ」とという、弱気継続ながら、以前までと違って随分日本株寄りのコメントが載っています。
 武者さんはNYダウ6000ドル方向と弱気ですが、それを前提に日本株は8000円〜9000円で下げ止まるというのですから、これは相対的には相当な強気です。
 日々の動きだけ見れば、なんとも情けなく絶望的に見える日本株の状況ですが、大局的には底値圏を形成しつつあることだけは、信念を継続していきたいと考えます。


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