真面目外務員の本音ロゴ

第230回 合理的な限界<4/15>

 日経平均が安値を更新しているのは、日本の政治が悪いからだという怨嗟の声が私の仲間に限らず証券界中に満ちています。
 証券で生活を営む以上、悪い相場が続けば、愚痴や弱音を吐きたくなるのは仕方がありません。私も毎日泣きたい気持です。しかし、相場に参加しているというプライドが少しでもあるなら、負けた言い訳を政治に求めるべきでないと思います。
 相場は売るか買うかです。政治が悪くて株が下がると思うなら、売ればよいのであって、買って他人に文句をいうのはちょっと筋が違うのではないのでしょうか。
 (それとも、オカミになにごとも頼ろうとする親方日の丸根性がいまだに抜け切らないのでしょうか?)

 まさに泣きたいほど厳しい状況です。女房に「朝、家を出るとき、歩き出したらすぐ顔が下を向いていたよ」といわれました。
 しかし、そのうえであえて言うのですが、最近の私は案外に達観しています。現在のようなすさまじい相場は、いわば戦争をやっているようなもので、やれ人権侵害だ、ファンダメンタル無視だと文句をいっても仕方がありません。そしてまた、日々の戦況に一喜一憂して、弱気と強気の間を右往左往しても仕方がありません。恐れるべきは、なんであのときあんなふうに自分を見失っていたのだろうと後悔することだけです。
 長い目で見れば、現在のような弱気の市場は続かず、日本の株価は必ず回復する。これはもはや理屈抜きの私の信念であり、戦略です。そして、目先的にはなるべく達観して肩の力を抜いてクリアに判断していきたいというのが唯一の戦術です。

 現在の状況は、NTTが318万円の高値をつけた87年春を彷彿とします。
 恐るべきことですが、当時、ものすごい金あまり+過剰融資の勃興期で、NTTの株券は銀行で100%の融資が受けられましたから、NTTを現物で買うのにお金は要らなかったのです。しかも、評論家が1000万円にはなるだろうと書きたてていましたから、株価はうなぎ昇りを続けており、勧める調査部の人間に株価の合理的な説明を求めたら、せせら笑いされました。調査部の人間が株価上昇の理論的な根拠を説明する必要がないと思うほど、株価が下がる要因はまったく見当たらなかったのです。
 まさに今、そのときと同じく株が上がる理由がまったくないと思う人が増加しました。比較的強気の私でさえ、目先的には、積極的な買い手が増えるとは思えず、したがって急反発はないだろうと考えています。
 しかし、歴史的な天底はそのようなときにこそ現れるのではないでしょうか。
 NTTのお祭り騒ぎは、結果的には2か月の短命相場に終わりました。つれて、銀行、証券、電力など代表的な内需関連株は揃って87年4月に大天井を打ちました。まだ株価バブルの真っ只中で、需給関係はものすごくよく、熱気がムンムンしていたにもかかわらずです。(山一の飛ばしはこのときに端を発するはずです)
 どんなに人気や需給関係が偏っていても、株価には合理的な限界があるということを肝に銘じるべきだと思います。例えば、昨日、松下が883円まで売られ、21年前の安値にほぼ並びましたが、松下のリストラが成功せず今後も低水準の業績が続くと仮定しても、あまりに悲観的に過ぎ、無理がある株価水準に入ってきたと考えます。(もちろん、日本の一流ハイテク企業の技術力と販売力に、少なくともPBR1倍には評価できる最低限度の価値が残っているという前提に立ちますので、日本は何もかももうだめだというウルトラ弱気に立つならまた別の話です)
 悲観には限度があり、株価には合理的な限界がある。弱気の人が読んだら、負け犬の遠吠えだと思うでしょうが、そのことだけは忘れずに、日々の相場に立ち向かっていきたいと思っています。


第229回 大漂流<4/10>

 イラク戦争が終わろうとしているのに米国株の動きは重く、ただでさえ構造的な需給悪の中で弱りきっている東京市場は、しなびたゴムのように無気力な商状を呈しています。
 「株式の死」もしくは「株式市場の死」という言葉が新聞紙上に現れるようになりました。投資家が鵜の目鷹の目でもうけのチャンスを狙って強弱感が入り乱れる市場を「活きた市場」とすれば、現在はまさにその正反対で、多くの投資家がやる気と自信をなくし、ただ見ているだけで、がんばっているのは証券会社のディーラーとネットディーラーだけという状況です。
 昨日、松下が1000円を割れ、今日はソニーが4000円を割り込み、武田も新安値です。売る人(年金)がいて買う人が少なければ株価は下がるという、簡単明瞭な理屈が今日も市場を圧倒しています。

 前回もちょっと書きましたが、私の投資の初心は、時代の流れに乗ることではなく、流れに一歩の距離を置くということにあります。
 例えばいまがフセイン体制の真っ只中にあるとするなら、下手に逆らえば殺されます。そこでどうするか。ごちゃごちゃいっても仕方がないのだから、体制に乗って稼げばいいじゃんと考えるのも一法ですが、私は多分殺されない程度に体制に逆らい続けることに生きがいを見出すと思います。
 株式市場に押し寄せている現在の流れは、これまでのフセイン体制と同じく大変な支配力を持っています。3年前のネットバブルも圧倒的な流れが市場を席捲しましたが、下手に逆らえば抹殺されるという恐怖心では現在に及びません。あえて比較するなら、かつての株価バブルです。
 NTT上場にからみ、銀行など代表株的銘柄がべらぼうな高値をつけた87年のお祭り騒ぎ、それがやっと終わったかと思いきや、今度は野村證券脚本演出主演によるボロ株相場が続き、最後は暴力団の組長までもが共演し89年末の日経平均高値に至る数年間。その中で、評論家も含め、株式関係者はことごとく痴呆化(自己喪失)しました。会社四季報を見て業績を調べる投資家がほとんど存在せず、仮にいても、業績を調べることは株価予想になんの役にもたたなかったのです。
 現在は、マイナーな銘柄に限れば、会社四季報で銘柄を選別する効果があるという点で当時よりは恵まれています。しかし、市場全体で見れば、バブル期よりもはるかに強い力で流れに押しつぶされていると私は考えます。
 例えば、今日の日経金融は「日経平均 PER100倍を超す」と報じ、米国SPの30倍に比べ「明らかに割高」と書いていますが、これは書いている記者が痴呆化の波に巻き込まれているか、それとも投資家の痴呆化を意図しているのかのどちかです。
 米国ではすでに特別損益を除外して1株利益を算出することが常識化しており、たしか近々に決算報告にその明示が義務づけられるはずです。だから、SP500のPERは10倍台と考えるのがきわめて普通であり、まして日経平均が割高かどうかを、史上空前の特別損失計上が確実に予想される前期決算の表面的なPERで考えようとすることには、相当な無理があります。
 (株の評価損など特別損失が株価形成に大きな影響を与えないことを示す例は、電機株の中で最大級の特別損・赤字を出す三洋電機が堅調なこと、今日、日経が赤字報道している三菱商事がほとんど下げていないことなど枚挙に暇がありません。念のため)

 私はごく普通の見方を堅持していきたいと考えます。
 まず中低位株については、ゼネコンなど問題業種を除き株価が下げ過ぎていたのであり、多少上げても依然魅力的な水準にある銘柄が多いと考えます。
 小型株については、当面は不人気を脱せないと思われる銘柄が多いものの、長期的には魅力抜群と考えます。
 問題の主力株では、ソニーがキャノンと同じPERでなければならないというような痴呆的な論議には味方したくありませんが、ソニーといい、武田といい、90年代から順風が吹いていたので、そんなにいいことばかり続くかなという感じがして、私はぜひ買いたいとは思いません。
 むしろ買いたいのは、長く逆境にある銀行株です。前回述べたようにメガバンクの収益力は1株利益換算で少なくとも2万円位あると普通に考えられます。それに対してみずほは7万円でPER3.5倍ということになり、割安と判断するのが普通ではないでしょうか。
 みずほは間もなく優先株の転換価額決定のための平均値集計期間に入りますが、これを有力な売り材料にする風潮があります。しかし、不可思議な発行条件で絶好の餌をヘッジファンドにばらまいた三井住友のケースと、発行条件も引き受け先の質もまったく違うみずほを同列に論じること自体、アブノーマルと私には思えます。
 銀行株はまだ下がると多くの人がいいます。だから、急激なリバウンドはまず考えられませんが、経済的合理性抜きの下げには限界があり、私見では先週末のみずほの6.8万円は大底になってもおかしくない水準と考えます。
 現在の証券市場は、太平洋を漂流しているようなもので、いったいあとどの位の水と食糧が必要なのかさえも分かりません。だから、あくまで余裕の範囲内でですが、みずほの他、ほぼ同じ考えから日商ニチメン(2768)も超割安と判断して勧めています。


第228回 買いの原点(2)<4/2>

 いま9時半、三井住友が20万円を割れています。私自身も含めて天下の三井住友がまさか「200円」以下になるはずがないという思っていた人は多いはずで、また一つ値ごろ感が崩壊しました。
 ここにきての銀行株の下げは、これまでと違い目先的にメガバンクの破綻を懸念して売っている人がほとんどいないという点で、かえって悲劇的な要素を持っています。すなわち、破綻はしないだろうが、株価は下がるだろうという認識が市場に浸透しつつあることを示しています。破綻の懸念で狼狽的に売られるのなら、冷静に見ればそんな確率は低いという認識のほうに振り子が振れれば急反発します。しかし、株価が下がるだろうという冷めた意識で売られている限り、経済のデフレ化と一緒でなかなか反転のきっかけを見出せません。

 バブルが「株は上がる」という固定的な観念による買いの連鎖であるのに対して、現在はまさに「株は上がらない」もしくは「下がる」という観念による売りもしくは見送りの連鎖状態にあります。
 バブルの真っ只中にいるとき、「おかしい」と叫んでも空しいし、安易な値ごろ感でカラ売りするのが危険なことのように、逆バブルともいうべき現在、流れに下手に逆らうことは非常に危険です。しかし、流れに身を任せることも大局的には危険であることはいうまでもありません。
 人それぞれの考え方ですが、私は、投資とは、ブームや時代の流れに乗ることではなく、むしろ時代の流れに一歩の距離を置いて、自分自身の判断を行動に移すことと考えています。そして、判断の基準は、資本主義が存続する限り、<割高か割安か>について自分自身がどう思うか、どう感じるかにつき、「人の行く裏道」であろうとなかろうと、その判断を最優先すべきと考えます。
 
 さて、銀行株についての判断ですが、安易な値ごろ感が破壊された現在、一般的には下値目途はまったく立たなくなりました。急落する株価を前にして、問われているのは<割高か割安か>の価値判断です。
 詳述するのは省きますが、メガバンクの場合、通常時の1株利益は現在の発行株数で50円額面換算30〜50円というのが以前からの私の考えです。96年頃まで銀行の株価は2000円以上が当たり前だったわけですが、どう考えても<割高>という判断から私はほとんど常時カラ売りを勧めていました。それに対して現在は、銀行の通常の収益力に大きな変化はないにもかかわらず、50円額面換算で200円以下に売られているのは<割安>というのが普通の判断ではないでしょうか。
 もっとも、今後も不良債権償却が続くとすれば、将来は官民保有の優先株の転換により1株利益の希薄化が避けられませんが、それを考慮しても、メガバンクの現在の株価水準は<割安>と私は思います。
 かつてNTTが300万円を越えようとする頃、私は調査部の人間に「加入者1人あたりの通信料金が将来いくらになれば株価がペイすると考えるか?」と質問して、そんな悠長なことを考えていたらもうけを逃すとばかり冷笑されました。光通信が20万円を越えようとする頃も、理屈は後からついてくるとばかり、市場は押せ押せムードでした。
 現在の銀行の売りムードにも押せ押せムードがあり、株価の先行きに予断は許しませんが、私はこの流れにはぜひとも逆らいたいと考えます。
 銀行株に限らず、多くの銘柄が大変に<割安>な状態にあると私は確信しています。先日、日経金融だと思いましたが、トヨタとキャノンはPER10倍台で国際的に適正だが、ソニーとロームは20倍台なのでまだ割高だという記事がありました。ソニーやロームが割安か割高かの議論はさておき、成長性がないとは断言できないはずのソニーやロームを一般的には安定株であるトヨタやキャノンと同じPER水準でなければならないと考える人がいること自体、現在の株価がいかに低い投資マインドの中で形成されているかを物語っているのではないでしょうか。
 わずか3年前には、3万円のソニーは、株数が倍になってもまたすぐ3万円になると神ががり的に信じられていたのです。現在の3年後、いま絶不調の銀行株がどうなっているか、私は楽しみだと思います。


第227回 買いの原点<3/26>

 セザールが破綻しました。私募CBを出して発行株数が水増しになり、信用残も多かった銘柄だけに、私のまわりでも結構馬鹿にできない被害者が出ました。
 私は、これまで低位株では案外破綻の被害は少なかったのですが、だいぶ前には、値がさ株がいきなり倒産して、七転八倒したことがあります。
 93年のハニックス、98年のテスコンです。いずれも店頭銘柄で、いずれも甚だしい粉飾決算でした。ハニックスの場合は株価3000円台で、表面的な数字を見る限りまったく文句のつけようがない「優良株」でしたが、後から有価証券報告書を調べるとそれなりに財務の劣化がうかがえて、もっと慎重であるべきだったと悔やみました。それからは顧客に銘柄を勧めるときは有報に目を通すように努めはじめたのですが、それでもテスコンの粉飾決算に引っかかりました。
 先日、粉飾決算で倒産したナナボシの経営者に実刑判決が出ましたが、資本主義の発展のためには、上場非上場を問わず粉飾決算は厳罰という社会風潮を定着させるべきだと思います。

 ところで、こう書いてきたところで、オリコが10円高の73円と急騰してきました。実は、低位株の中で買いたい銘柄として挙げようと思っていたのです。
 オリコは、みずほが優先株を再度引き受けることにより、今度こそ含み損があらかた整理され、財務が最低限度の均衡を取り戻します。財務の均衡もさることながら、みずほにとっては3年続きの財務支援で、エース級の役員を社長にしたことにも示される通り、突き放すことは事実上ありえなくなったと考えられます。
 債務超過ではなく、かつ資金繰り・企業存続についての不安がみずほ自身の存続のそれに近いと考えるならば、本業が稼ぐ安定収益が大きな投資魅力になります。オリコの場合、300億円からうまくいけば500億円の経常利益がかなり安定的に見込め、これは税負担考慮後でも現在の発行株数でのEPS25〜40円です。問題は、時の経過につれ優先株の転換で発行株数が膨大に膨れ上がる可能性があるということですが、時間は相当長くあり、一部は現金による返済も可能です。少なくとも復配は近いと見られます。
 それやこれやで、私はオリコは100円以上であってもおかしくないと考えています。

 下げ相場はいつもいやなものですが、今年に入っての下げは優良株が中心で、まさかの銘柄がまさかの大幅安となり、投資家に与えた心理的なダメージが特に強かったのではないでしょうか。例えば、ある人にとってはソニーが、武田がなぜこんなに下がるの、もう何もかも信じられない、です。
 しかし、私は思います。そもそも、何もかも信じられないところから出発するのが、投資の原点なのではないでしょうか。問題は、優良株をなぜいいと思ったかです。ソニーだったら、武田だったら大丈夫という判断が単なる世評によるものではなく、自分自身の割り切りによるものだったら、株価が半分近くに下落したからといって、いまさらそれほど驚くこともないでしょう。
 その点で、この数年の「二極化」(一流株高、二流株安)の中で増加した優良株ファンの中には、機関投資家も含めて自分自身の信念はそれほどないまま、わりと安易に「優良株を買っていれば安心だ」と思い込んでいる人が多かったようです。

 優良株(世評の決める優良株)以外にも、内容がすばらしいと考えられる銘柄はたくさんあります。また、オリコのように内容はボロボロでも、株価に比べればすばらしい投資価値があると考えられる銘柄もたくさんあります。
 なにもかも信じられないけれど、今こそ自分なりに割り切り、自分の判断を信じて、いずれかの銘柄の投資価値を信じて、資本主義の論理で積極果敢に行動していきたいと思います。
 私の場合、根が楽天的なのか、今は買いたい銘柄が多くて、というより買いたい銘柄がほとんどで困っているほどです。
 オリコの他にあえて1銘柄挙げれば、日本テレビは新社屋の償却負担で急落していますが、来期減益を見込んでも、解散価値(12,900円)割れは魅力的と思います。


第226回 静かに待つ<3/19>

 開戦前夜の今日、日本の相場は静かかなと思っていたら、朝寄り直後ハプニングがありました。なんと、みずほがネット証券経由の小口売り物で急落、6800円安の9万300円まで売られたのです。
 いま9時半、顧客への連絡が一段落してこれを書き出したのですが、みずほも9万2000円台まで戻り、どうやら平静を回復したようです。
 私はみずほを全体相場立ち直りのリード役になると見ていただけに、その急落は非常に残念なことです。しかし、株価のことは株価に聞けですから、下がった株価を前にして、この株価は間違っていると腹を立てても仕方がありません。投げるか、持ち続けるか、買い増すかを決めなければなりません。
 現在の私の考えは「買い増し」です。今日の薄商いでの急落はミス・プライス的な底値になってもおかしくないと判断しました。しかし、現実には、資金事情への考慮やみずほ株に資金が偏ることへの考慮などで、買い増ししたのはごく一部の顧客だけです。

 開戦を控え、大変だ、大変だという声が高まっています。昨日のTVでは、そうそうたる評論家が口を揃えて「日本経済が大変なことになる」と述べていました。近未来のシミュレーションとして、ガソリンは配給制、電力供給も細り、主婦が物資の確保にスーパーに殺到し(これはまるで第一次オイルショック時の日本)、大銀行が破綻し、企業の連鎖倒産が多発し、首のつながっているサラリーマンも電車賃節約のため自転車で通勤する(これはまるでルーブル急落時のロシア)というものです。
 私は思うのですが、日本経済はそんな心配をする前に、すでに大変です。乱暴な言い方をすれば、日本の社会はデフレ病という死に至る病に冒されて折り、この病気がまだまだ悪化していくのではないかという暗たんとした恐怖に比べれば、一時的な経済混乱の心配なんかまだ軽く明るい話だというふうにさえ思えてきます。
 投資にとっての大敵は、混乱もさることながら、それ以上に経済の停滞、萎縮、閉塞です。インフレや金づまりならお金が動き、投資はそれなりに活発化するのですが、金はうなるほどある、しかし経済は動かず金の持って行き場のない今の状況こそ投資にとって最悪です。

 デフレは絶対に自然治癒しないといわれますが、ほんとうにそうなのでしょうか。バブルが自然にはじけるように、デフレも行くところまで行けば、経済の自浄作用が機能するのではないかと期待します。そして、債券への人気集中ぶりを見れば、その時期は近く、今回のイラク戦争は(どういう経過であろうと)案外、デフレ脱却のきっかけになるのではないかと期待します。(私もデフレ病にかかっているせいか、そう書きながら甘い、甘いという気もしてきます)
 朝書き出して、途中で中断したのでいまは午後1時過ぎ、朝安の銀行株は戻しているものの、日経平均はとうとう最安値の水準に下落しています。このところ買い一方のスタンスに徹していたので、この下げはこたえますが、幸いにしてどの顧客も追証発生には余裕がありますので、イラク戦争ショック後の日本市場の蘇生に期待して、静かにそのときを待ちたいと考えています。

追記
 株式評価損のことでまたつけ加えます。
 昨日の株式新聞は「株式評価損 企業収益を直撃」「下方修正相次ぐ スクリーンはS安」というセンセーショナルな見出しで、スクリーンのほかエスバイエルや三洋電機クレも「上場企業の株式含み損は3.51兆円、今後も下方修正が出てくる恐れがある」と報じています。しかし、ここにきてもっとも多額の評価損と赤字転落を発表した三洋電機はむしろ逆行高の動きとなっているので、スクリーンやエスバイエルが業績下方修正で売られた理由は、本業の業績不振のせいと考えるのが普通の受け止め方だろうと思われます。
 保険会社のごく一部では、株式評価損が深刻な問題になる可能性がありますが、市場全体として、株式評価損で騒ぎたてるのはどうかと思われます。


第225回 腑に落ちない<3/13>

 昨日述べた評価損と銀行の問題で、つけ加えます。
 今日の「証券新報」に「腑に落ちない銀行増資」という表題で、銀行がなぜこの時期に資金集めするのかと批判する文章が載っています。
 その論点はおよそ以下の通りです。
 @例年需給関係の悪いこの時期に国内だけで1兆6600億円の増資を実施して、全体の下げの一因になった
 A受け手側の企業の懐具合は悪い
 B期末事情と重なって、払い込みのための換金売りを余儀なくされている
 C銀行は日銀に保有株を引き取ってもらえるのに対して、企業側は払い込み資金作りのため持ち株を株式市場経由で売却せざるをえず、腑に落ちない
腑に落ちないのは、この文章の方ではないかと私には思えます。
 まず、今回の平均株価急落には、三井住友の優先株の発行形態が大いに影響したと私は考えますが、この文章の筆者が問題にしているのは国内資金での増資ですから、三井住友とUFJの増資は除外されます。すなわち、メガバンクではみずほと三菱東京に限定され、かつ企業の増資払い込みを問題にしているのですから、三菱東京の増資額の個人向け以外(約半分)とみずほの全額が論点の対象ということになり、金額面から、もっぱらみずほの増資が問題にされていると考えてよいでしょう。
 みずほの払い込みはまだ先なので、どのようにして払い込まれるか決定していませんし、3500社の全貌は知りませんが、少なくとも「懐具合が悪い」企業からの応募は少ないはずです。発表された大口先で一番貧乏そうなのは富士通ですが、前期3800億円という巨額の赤字決算時でさえ、営業キャッシュフローは3000億円の黒字だったのですから、営業黒字の今期末において80億円程度の現金の捻出に四苦八苦するとは通常考えられません。
 新聞を見れば、上場企業の巨額な赤字計上が報じられており、企業の「懐具合」が悪いと錯覚しがちですが、現実には企業の経常利益は伸びており、しかも設備投資を抑制しているのですから、現金収支は大幅に好転しています。多くの企業が多額の自社株買いを実施してなお十分な現預金をプールしており、日々の運転資金に困っている上場会社はきわめて少数なのです。
 邪推かもしれませんが、「懐具合が悪い」という筆者の表現には、会計上の期間損益と現金収支の混同と、「不景気だから金回りが悪いだろう」という思い込み(実は逆)があるように感じられます。もしかして、取材をした上での文章だとしても、3500社のうちのごく一部からの聞き込みに過ぎず、到底全体像をとらえたものになっていないと私は思います。
 いずれにしろ、みずほの増資払い込みと日々の株式市場に流出入する投資資金との直接の関係性はほとんどないはずです。(1兆800億円のうち、転換価額の決定日が近く普通株に比較的性質が似ている優先株は1015億円のみ)
 3月に増資する背景にやむにやまざる事情があり、その事情が出現したのは銀行自身の意思でないことはだれにも明らかなはずはずです。それを一方的に銀行のせいに押し付けて、相場の下げの責任まで押し付けてしまうのはどうでしょうか。
 ましてや、日銀による銀行保有株の引取りが「腑に落ちない」などという発言は、銀行がなんでもかんでも悪いという先入観に基づくものとしか思えません。
 それやこれやの先入観が、日本経済の萎縮の原因になっていると私は考えます。銀行はもちろん上場会社のほとんどに不景気であるがゆえに潤沢なキャッシュフローがあるのですから、簡単に資金のショートなんか起こるはずがないのです。それを赤字だから株主資本比率が低下して危ないとか、借金が多いから危ないと表面上の数字だけで騒ぎたて、株価が急落すると、今度は株の評価損で銀行の期末が心配だと騒ぎたて、公的資金の注入には厳しい条件をつけ、それで仕方なく増資をすれば、タコが自分の足を食っているように酷評したり、まるで貧乏人から金を吸い上げるかように騒ぎたて、いったいこのような騒ぎにどのような生産性があるのでしょうか。
 いたずらに株価のブレを大きくして、ヘッジファンドを喜ばせるだけでしょう。
 私は銀行の肩を持つわけではありません。銀行経営の安定がデフレ脱却のための必要条件であるのはいうまでもないことですが、そのために必要なのは自己資本比率という数字の改善もさることながら、いたずらに群集心理で危ない危ないと騒ぎたてず、冷静に信用リスクを判断し、リスクに応じて適切な備えをするという社会風土を形成していくことだと考えます。
 評価損と銀行の問題につき、今日の記事はかっこうのたたき台になると思いましたので、再論させていただきました。


第224回 虚心坦懐の心境<3/12>

 前回、膠着相場の終わりが近いと書きましたが、上離れを予想しましたので、また赤恥をかいた形となっています。ただし、負け惜しみになりますが、私にはどうしても新しい弱気局面が始まったようには思えません。
 日経平均やTOPIXを売買しているなら別とはいえ、我々の顧客の多くは個別株の売買を資産運用の中心にしています。昔ながらの営業の仕方をしているからそうなるのだという批判もありましょうが、インデックス型に限らずできあいのファンドの販売では、我々の存在価値はますます否定されてしまうので、むしろ積極的にその道を選んでいるのです。
 一般的な個別株で見た場合、ここにきて上昇ムードに水をかけられているものの、特に危機的な株価下落が起こったわけではありません。小型株指数は年初から見れば、まだプラスですし、チャート的にもそれほど崩れていません。
 危機的なのは機関投資家が多く保有するコア銘柄の株価下落です。コア銘柄ゆえのプレミアムが一気に剥げ落ちる形となっています。その結果、平均株価が下落し、金融機関の保有株含み損の拡大が懸念され、それがさらに市場の不安感に拍車をかけています。
 相場下落の背景を軽視しているようで顰蹙を買うかもしれませんが、私にはどうしても今回の下落はバブル崩壊後これまでいく度とない安値更新場面と違って、経済全体の本質かかわる危機的なものとは思えないのです。

 日本経済を病ましているデフレ・スパイラルの一つの側面が、日本株の持ち合い構造に伴う株安→銀行株安→株安の悪連鎖です。ただし、株価水準もここらへんまで来ると、企業のバランスシートにとって本質的には大きな問題でなくなりつつあることを考えておくべきだと思います。
 例えばよく知っているところで、合同製鉄を例に取れば、その保有するみずほ株の評価損は昨年7億円発生しましたが、減損処理をした結果、簿価は5億円に下がっており、もはや最大5億円の損失しか発生しません。しかも、もともと評価損がいくら発生しようが、あくまで会計的な数字の上でのことであり、合同製鉄の経営の実質にはなんの悪化も生じないのです。むしろ、資産の効率が高まるというプラスさえ生じます。
 これと同じことが、もっと大きなスケールで銀行の保有株評価損についてもいえるはずです。メガバンクの中でもっとも小さな資本増強に止めたUFJさえ、日経平均7000円までBIS基準を達成できると言明しているのですから、メガバンクがこの3月期もBIS基準を満たし、海外業務を続けられるということは確実な状況となりました。
 BIS基準さえ大丈夫なら、保有株の評価損の巨額さをマスコミと一緒になって騒ぎ立てるのはどうかと思います。むしろ、かつては持ち合い構造でかさ上げされていた株式資産がリーズナブルあるいは割安な評価になることで、筋肉質の効率的な資産に洗いなおされたという積極的な評価が可能です。

 今日は新みずほが上場し、旧みずほの終値比8千円安の10万4千円で寄り付きました。この7%の下落は同期間にUFJが11%、三井住友は24%も下がったことを考えれば強いともいえますが、1兆2000億円の資本増強で自己資本維持が確実になったことを考えれば、評価が低すぎると私は考えます。
 銀行株に対する弱気は、かつての感情的な「つぶれるのではないか」から冷静な「存続してもあっぷあっぷだよ」に変わり、その分簡単には揺るがない性質の弱気になっています。
 しかし、銀行の収益力には一定の評価ができる一方、不良債権の判定には所詮絶対的な基準があるはずもなく、銀行株の価値については諸論あって当然です。私はそろそろ銀行株に対する強気意見が台頭し、銀行株評価の上ブレがあってよいのではないかと考えます。

 以上、平均株価の安値更新にもかかわらず強気意見を述べました。負け惜しみと惰性にはまりこんでいるように思われるかもしれませんが、私自身は、虚心坦懐に現在の状況に向かい合っているつもりです。


第223回 強気の構造<3/5>

 市場全体で見れば、まるでこの世の果てまで続くような閉塞相場です。私も含めて外務員仲間のほとんどが緊張感や心のメリハリをともすれば見失いがちになっています。
 しかし、同じ閉塞的な状況でも、最近は局部的には賑わう銘柄がそこそこ出現してきており、昨年から今年初めまでとは明らかに景色が変わっています。
 ここにきては、私には到底理解できませんが、往年の仕手筋の再興をはやして急騰する銘柄まで出現しました。
 仕手株物色は、個人の投資意欲の直接的な噴出です。多くの場合において、投資採算を逸脱しており無謀な挑戦にすぎません。ただし、相場の末期症状として出てくることがある反面、新しい本格上昇相場の予兆として出てくることもよくあります。(昔、平和不動が動くのは相場の終わりか相場の始まりだといわれましたよね)
 そこらへんを考えると、相場の転機(日経平均の上か下への離れ)は案外に近いと考えられます。私は上への転機だと考えていますが、その理由は以下の通りです。

 まず、日米の株を次のように大まかに分けます。
 @米国の在来産業株
 A米国のハイテク株
 B日本のハイテク主力株
 C日本の在来産業主力株
 D日本のその他大勢株
 このうち、最近もっとも下落が目立つのは@とCです。@の下落はもっぱらイラク問題に重点を置いて説明されていますが、米国の国内景気と業績と株価のかねあい(バリュエーション)と長期上昇の後の株価位置から来る不安に根本原因があると私は考えます。Cの下落は、銀行を中心とする国内金融システムへの不安や年金の代行返上など国内の金融・需給問題が大きな要因になっていることは疑いありません。
 それに対して、最近もっとも明るい動きをしているのがDのその他大勢株です。この上昇の原因を、上に述べた仕手株と同じ次元で個人の欲求不満の噴出とのみ説明するのは片手落ちだと思います。上昇銘柄の内容は多岐にわたっており、様々な投資選好を反映しています。欲求不満の噴出というより、冷静な投資判断でこつこつと買われているというべき銘柄も数多くあります。
 私自身も、Dにもっとも投資魅力を感じます。PERの面から格安だったり、PBRの面から格安だったり、大きな成長期待があったり、商品市況の反転期待など、魅力の根源は様々ですが、長い間不人気で、下値鍛錬を経ていることに一般的な特徴があります。その点が、@の米国の在来産業株が現在の業績からはいかに割安でも、長期的な株価トレンドの上で不安があるのと対照的です。
 Dの銘柄群に投資する上での不安は、その銘柄自体のリスクは各自で割り切るとして、世界的あるいは日本独自の要因で、株式市場が崩落したり経済が混乱することです。
 米国の在来産業の株価ニアリイコールNYダウと考えた場合、今回の下げはあるいは昨年安値を切り下げる形になるかもしれませんが、崩落につながる性質のものではありません。今回のNYダウの下げは日本の株価への影響が限定的であるはずと考えます。
 次に米国のハイテクの株価ニアリイコールナスダック指数と考えた場合、日米のハイテク株、特に半導体関連の連動性から、ナスダック指数の変動は日経平均に直接の影響を及ぼします。ただし、ナスダック指数は急落後3年を経過しようとしており、最近の値動きはNYダウに比べ落ち着いており、安心感が生じつつあります。
 したがって、もし日本の株式市場が崩落的な下げに見舞われるとすれば、日本の国内要因による場合が多いと考えられます。そして、その最大の焦点となっているメガバンクの自己資本問題がまさに正念場を迎えつつあります。
 もしメガバンクの資本増強が無事に果たされる目途が立てば、Dの投資への不安が大きく後退するのに加え、Cの主力株も一気に上昇に転じ、投資家の心理が抜本的に好転すると考えられます。
 米国の株価が陽転した場合はもちろんのこと、少なくともナスダック指数が堅調を保てば、日本の株式市場は近々にも本格的な上昇局面を迎えるのではないかと私は考えています。


第222回 優良株の没落<2/26>

 3月高に備えて強気スタンスをとりかけた途端の急落で、正直なところ、カウンターパンチをくらった気分です。
 それにしても、全体急落のきっかけとなった三井住友の優先株の発行条件には憤りを感じます。利回り2.25%とGS向けの半分に設定してあるものの、転換の条件があまりにもよすぎます。発行時の時価で普通株に転換できるうえに、2年後に下がっていたら転換価格を引き下げるというのですから、まるでおんぶにだっこです。実質的に普通株とまったく同じキャピタルゲイン期待があることに加え、配当利回りは特別に保証、しかも値下がりした場合は損失補填してくれるのです。もし証券マンがこのような条件で三井住友の普通株を販売したら、逮捕されて禁固刑が確実ですね。
 その点、昨日発表されたみずほの海外向け優先株の発行条件は、国内向けの8500億円とおなじくリーズナブルであると判断されます。
 今日は、そのみずほが3たび10万円を割り、全体も暗いムードに沈んでいます。一日も早くメガバンクの株価に落ち着きが戻ることを願うばかりです。

 昨年の10月以降、毎月毎月、生理のように日経平均終値の8300円をめぐってハラハラする局面がやってきます。ただ、実際的にもっとも全般の株価が下げていたのは12月ではないでしょうか。TOPIXはそのときが最安値ですし、なにより一般投資家の持ち株状況は大きく違うはずです。
 いまは日経平均は8300円であっても、多くの銘柄で見れば最悪状態ではありません。昨日の新安値はわずか1500のうち65銘柄ですが、その65銘柄のほとんどが有名な優良銘柄であり、日経平均採用銘柄であることに今回の下げの特徴があります。
 優良株の下げる理由は、もちろん年金の代行返上売りなど特殊要因を指摘できますが、その他に、長期的なサイクルも影響していると私は考えます。

 バブル期から90年代半ばまで、日本の株価構造はいびつでした。ホンダや武田などが1000円そこそこの低PERで取引される一方、低収益の浚渫株がイメージだけで同じくらいの株価に買われていたり、ボロボロの銘柄が結構な値段で選好されていました。
 割安だった優良株が買われ、割高だったボロ株が売られるという形で、二極化が鮮明化したのは96年頃になってからだと思います。そして、ネットバブルと前後して、その動きが踊り場に差しかかり、行き過ぎた二極化に反動が生じてもおかしくない時期に入ってきたと考えられます。
 例えばセブンイレブン。このところ下げ続けて2800円台と一時から見れば夢のような値段ですが、それでもPERは30倍近くあり、ローソンなどに比べて安くありません。私がもしコンビニを買うなら、迷うことなくPER6倍(?)のCVSベイ(2687)を買います。
 この2〜3年のチャートで見れば、優良株はほれぼれするような水準にありますが、目先的には反発しても、リバウンドの幅は案外に小さいのかもしれないとも考えます。
 したがって、今後相場が好転に向かった場合、短期的には優良株が絶好の買いのターゲットになりましょうが、大きな幅で値上がりを期待できるのは小型株でしょう。私は既定方針通り3月に本格上昇という想定で、割安小型株による中期大幅高狙いを中心に、優良銘柄の短期張りも加味して強気寄りの姿勢を堅持していきたいと思っています。


第221回 強気ポジション<2/19>

 日経平均は前代見聞ともいうべき膠着状態ですが、現在のような膠着なら、我々にとっては歓迎すべき面もあります。
 我々外務員にとって、収入がいちばん増えるのは、当然ながら3年前のような相場絶好調時です。しかし、だれもかれもがハッピーという状態は長く続くはずもありません。逆説的ですが、相場が上昇すればするほど、我々のビジネスのリスクは増大するのです。
 平均株価が横ばいで、個別株が上げ下げするなら、基本的なリスクは高まらず、腕の振るい方次第でビジネスチャンスが開けます。
 個人投資家にとっても、現在の状況は決して悪いとはいえません。平均株価のわりには、かなり多くの投資家の持ち株状況が好転しつつあるのではないでしょうか。

 問題は、平均株価の膠着がいつまで続き、どちらのほうに振れるのかということです。平均株価は関係ないと割り切っているつもりの私でさえ、日経平均が8800円に近づけば、もしやと期待し、8700円を割れれば、もしやと不安になります。
 たいていの人が現在の状況を、割安に感じる反面、危なっかしいものに思っており、ある人は方向感が出るまで待つしかないと言い、別のある人はもう少し悪材料がなくなり、不透明感がなくなるまで、おちおち手出しができないと言います。
 しかし、考えてみれば、「悪材料がなくなり、不透明感がなくなる」というときはどういう相場状況でしょうか。むしろ、それこそ危険な時期が近づいているときだといって過言ではないでしょう。
 それに対して「方向感が出るまで」という考え方には、大いにうなずける点もあります。 いわゆる順張りで、流れに逆らわないという投資方法を採っている投資家なら、今のように方向感がないときにジタバタする必要はありません。ただし、順張りと言っても、単なる大勢順応なら成功は望めませんから、それなりの見きわめと割り切りが必要なはずです。
 すなわち、申し上げたいことは、どんな投資家も、いま考えなくてもそのうち結果が出るさという形で判断を停止していてはいけないだろうということです。

 前おきが長くなりました。私は平均株価の膠着は、3月初めには上向きに解消されるだろうと考えていますが、個別株ではすでに強い上昇が始まっており、今回の反騰相場は過去のそれと違い、平均株価の大幅高を見定めてから強気に転換するのでは変化に乗り遅れる可能性があると怖れています。(過去10年間は、大底で逆張りしなくても、平均株価の大幅高を見てからでも十分に間に合った)
 したがって、顧客ごとにできるだけ攻撃的なポジションにシフトすべく現在努力中です。
 具体的には、@できるだけたくさん買ってもらう、Aローリスクの穏健型銘柄よりハイリスクの積極型銘柄(小型株中心)に重点を移すことです。
 もっとも、相手があることですから、簡単には変化できません。買いましょうと言っても迷う顧客が大半ですし、ましてや安心感の高い有名銘柄ならともかく、ハイリスクの小型株などなかなか手が出ません。
 小型株では、目下、アライドテレシス(6835 東証2部)が魅力的だと考えています。
 今週月曜日に決算を発表し、ネットワーク関連に極寒の環境下で前期1株利益100円を確保し、今期は153円の会社予想に対して、時価は2600円台です。 

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