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第260回 さすらう株価<11/19>

 この1か月の株価崩落はすさまじいものでした。ソフトバンクが半値以下になったのを筆頭に、3割安、4割安が続出しました。
 下落率がきついのは春以来大幅高してきた銘柄が多いので、「上がり過ぎたのだから下げて当然」と言う人もいれば、業績が安定しない銘柄が多いので、「再生の美名を借りたボロ株の相場は終わった」と断じる人もいます。特に私の勧めているニチメン日商は、今期も赤字なので、ほら見たことか、やっぱりねと思っている人がたくさんいます。
 しかし、悔しまぎれで言うわけではありませんが、この間に大幅安した銘柄は「ボロ株なのに上がり過ぎたのだ」というような文脈で一くくりにされるべきでありません。内容に不安があったり、業績が悪かったりするのは、いま目に見える現象的な共通点であり、本質的な共通点は、景気敏感株やネット関連株を中心に株価変動率が高いと目される銘柄だということです。株価変動率が高い銘柄群が、いまのような景気がまだら模様のときにバリバリの優良な内容であるはずがありません。
通常の下げ相場なら、悪材料の少ない銘柄ほど下げ率が小さく、したがって次の上昇相場でも前向きに買われることが多いといえます。下げ率の大きな銘柄は、悪材料のある銘柄群なのですから、せいぜいリバウンドの思惑で注目されるに過ぎません。
 しかし、今回の下げは目に見える悪材料の出現によるものではありません。あと講釈で悪材料を指摘できるものの、真の下げの理由は市場マインドや需給関係など外部要因以外ものに尽きるといっても過言ではないと思います。しかも、もし相場が近々に回復するとすれば、それもまたマインドや需給関係のちょっとした変化による可能性が高いと思われます。そして、マインドや需給関係だけの問題である限り、次の上昇局面で活躍する銘柄は、これまでに大きく上げ、したがって現在大きく下げた銘柄群と、かなりの程度重なり合うと考えられます。

 バブル崩壊後のリバウンドでもっとも金融相場的な色彩の強い93年の場合、上昇半年強経過後の10月から11月にかけて、需給関係の悪化により、平均株価では今回以上に無残な反落を演じていますが、12月から翌年1月にかけて特別な好材料もなく全値戻しをしてしまいます。
 そもそも淡い期待を膨らましながら育つ金融相場ですから、特別な外部材料もなく乱高下しがちなところに本質があると考えてよいのではないでしょうか。
 現在のまだら模様が本当に好転するのか、それとも無理なのか、その答えが明確に出るのはまだ先でしょう。したがって、金融相場が現段階で終わってしまう必然性はまったくなく、少なくとも来年春までは続くと考えるべきでしょう。 

 これまでが金融相場の第1ラウンドであったとすれば、現在は上昇の第2ラウンドの開始を模索中であるといえます。
 第2ラウンドの活躍銘柄は、第1ラウンドの活躍銘柄とかなりの程度重なり合うだろうと上では述べましたが、まったく同じ繰り返しになるはずもありません。
 おそらく、金融関連、再生関連、素材市況関連、工作機械関連、半導体関連、ネット関連など活躍したグループの平均パフォーマンスの優劣は、次は相当に変化すると思われます。私見では、素材市況関連や工作機械関連や半導体関連などのパフォーマンスは低下する可能性が高いと思います。
 また同じ銘柄グループの中でも、銘柄選別が進み、銘柄ごとのパフォーマンス格差が激化する可能性も高いと思われます。

 今日は書き終わったときには、1日の相場が終わってしまいました。日経平均は282円安で9614円の安値引けでした。
 上昇第2ラウンドのことなんか二の次だ、問題はこの相場がいつ下げ止まるかが問題だ、とお叱りを受けそうですが、私には目先のことなんか考えても分かるわけがないという諦めがあり、あるのは早く底を入れてほしいという願望と、絶対に次の局面に備えて頑張るぞという志だけです。
 希望的にいえば、来週前半は転機になる可能性が高いと考えています。また基本的には買いに慎重にならざるをえない中、来週26日に初めて発電事業を含めた連結決算を発表する2部の東亜石油は、割安感とある程度の安心感のある銘柄として現段階でも買いを勧めています。


第259回 迷いと決断の間で<11/12>

 息子が「バカの壁」という最近の人気本を買ってきたので、借りて読みました。
 ある一つの情報に対する受け止め方は人によってまったく違い、仮に完全に情報を共有していても、人様々な結論に至るのが当然だということ、したがって自分の考えが正しく、人の考えが間違っているとは簡単に決められないことについて、あらためて考えさせられました。
 株式相場の世界は、情報自体がつねに不完全で、不平等で、いわば目が悪い人が集まって、象の一部を触っててんでばらばらの感想を言い合っているようなものです。例えば、今朝の日経金融新聞にも、日興Sのストラテジストが、日本株は「ROEが最低水準なのにPERは最高水準」だから国際的に割高という判断をしていると報じていますが、私の感じたのは、原文はさておき、この紹介記事を書いた記者は、株の世界に横たわる闇の中で、位置や方向を判断することはどういうことかについて、まったく分かっていないか、分かろうとしていないか、そのどちらかだという印象です。
 上述の通り、人を批判することは大変難しいことですが、以下にその記事を書いた記者が分かってないと感じる理由を述べさせていただきます。

 まず第一に、我々株式の売買に携わるものは、PERだ、PBRだ、ROEだ、EVAだ、EBITDAだといろいろな物差しを振りかざします。しかし、物差しがいろいろあるということは、物差しが役に立っているということを意味するわけではなく、むしろ我々が暗闇の中でいかにあてどもなくもがいているかの証拠であるともいえます。どの物差しで計っても、仕立て屋が洋服の寸法を計るようなピッタリする結果はえられないことを我々は身に沁みて感じています。それなのに、ROEやPERという原始的な寸法合わせで、日本株の株価水準を一刀両断に裁断してしまおうとする蛮勇は、私にはとても理解することができません。
 第二に、そもそも「ROEが最低水準なのにPERは最高水準」という表現自体がおそらく大きな思い込みに根ざしていると思われます。ROEが低いということは、確かに通常は資本効率が悪いことを示します。とすれば、いまの日本株は資本効率が悪いのに高く評価されていることになり、株価が割高だという判断は一見もっともです。しかし、ROEは過去もしくはせいぜい現在の資本効率を示しているにすぎません。いまでこそ日本株の利益水準は低く、したがってROEが低く、PERは国際比較で高いのですが、近い将来に日本企業の業績がさらに向上し、ROEが上昇、PERは低下することが十分考えられます。その側面からは「ROEが最低水準だからPERは最高水準」といってもよいのに、「だから」ではなく「なのに」になっているのは、この記者には、日本企業の資本効率はずっと悪いままで、したがって業績がよくなるはずがないという思い込みがあるためとしか考えようがありません。思い込みは避けたいものです。「バカの壁」は生まれつきに存在するのではなく、環境と思い上がりによって形成されるのですから。

 今日の前場、日経平均は44円高と小反発しました。
 当面は、たいていのことなら何が起きても驚かない覚悟でしたが、いざ株価がつるべ落としになると、いささか動揺してしまいます。
 特に、コアストックにしているニチメン日商が昨日一時ストップ安となったときは、さすがにうめきました。ただし、だから、弱いとか強いとか、ある値段を切ったら下離れだなどとは一切考えないことにしています。日経平均の三尊天井説についても然りです。
 金融相場は所詮、濃厚な懐疑の中に咲いた淡い期待の花なのですから、反落場面では買い手が霧散し、まるで天井を打ったような騒ぎになることも避けられません。
 本質的な問題は、あくまでも日本経済の長期的な傾向です。足下の銀行経営の好転が一過性のものであり、日本経済の転回(デフレ脱却)を意味するものでないとすれば、PERとかROEにかかわりなく、日本株が上がるはずがありません。
 投資家は様々な考えを持つべきですが、焦点はあくまで日本経済の行く手についてどう考えるかであり、その他のことは枝葉末節だと私は考えます。

 ところで、ニチメン日商が東京三菱銀行から見放されるのではないかという質問のメールがありましたので、この場でお答えします。ついでにいえば、この人は半年前、東京鉄鋼、ニチメン日商、アライドテレシスの3銘柄が下がっていることに対して「売り逃げの為の推奨と思われても仕方あるまい。責任ある回答を」というような苦情を書いてきた人で、第234回(5月22日)にその内容を紹介しています。
 さて、ニチメン日商が東京三菱銀行から見放されるかどうか私は知りません。
 ただ、伝えられるところでは、ソフトバンクなどと並んで見放す候補リスト(?)に載っているということですから、それほど憤慨して考える必要もないと考えます。
 そのソフトバンクは、昨日赤字決算発表でストップ安しました。このまま赤字が続けばそのうちつぶれるだろうということは子供でも分かることです。赤字だから危ないと考え、投資を見送る人や銀行マンがいても私は反対するつもりはありません。ただし、私自身はどちらかといえば、赤字といっても将来のためにわざわざ出している予定通りの赤字なのだから、もっと前向きに考えてもいいのじゃないかという意見に組したいと思います。
 ニチメン日商の場合は、企業存続のレベルで考えるべきことは、@特損(過去の含み損)が今期で一掃されるのかということと、A経常利益の黒字がどの位の水準になるかの2点です。
 @とAを総合的に考えて、それでも赤字が続き危ないと考える人がいたとしたら、私はその人がそう考えること自体に反対するつもりはありません。ただし、私自身は、日商岩井の含み損が現在の見込み以上に出てくることはきわめて考えにくく、かつ経常利益が旧2社の合計水準を下回ることも考えにくく、したがって来期は正常な収益の実現、またしたがって正常な株価(この銘柄の場合1000円台)を見込んでよいと考えます。
 要は、人それぞれの考え方であると思います。ただし、マスコミはまるで神の声を伝えるかのごとく、ある特定の見解や図式的な算出結果をセンセーショナルに報道します。その記事に感情的に影響されるのは考えものだと思います。例えば、今年前半に私の救世主となった合同製鉄は、去年のいまごろは笑うしかないほど図式的な論理によって、木村メモの危ない会社30社リストとダイヤモンド社の危ない会社の16番目くらいにランクされていました。

 株価の一寸先は闇です。ほとんどたいていの投資家が、強気と弱気を両方とも内心に持っており、つねに揺れています。ときには気持がごちゃごちゃになり、神様にでもワラにでも何でもよいからすがりたくなりもなりますが、できるだけ人にすがらず、自分の中の強気と弱気の両方を大事にしたいものです。迷うからこそ決断できるともいえます。
 私は、中期的には、強気のスタンスを選択しており、いまのところ迷う必要を感じていません。当面については、何もしないことを基本にしており、強気と弱気の間でゆらゆら揺れて、決断のときをじっと待っている状況です。


第258回 思考停止<11/5>

 いま朝の9時半で日経平均は1万750円。先週の今日、1万780円と書いていますから、ほぼ似たような水準です。
 昨日の日経平均は288円高でしたが、朝から心躍らず、索漠とした感じにはまり込んでいたのは私だけではなかったでしょう。現に終わってみれば、主力株で躍動的に高かったのはトヨタ、東京エレク、アドバンテストなどごく一部だけで、個人投資家の期待が集まっている銀行・証券は極端に伸び悩みました。
 昨日に限らず、正直なところ、私は最近の相場について行けず、思考停止状態にあります。
 一般の多くの銘柄は、日々の値動きはそこそこあっても、モメンタム(継続的な動意?)がまったく感じられません。例えば、先週みずほが一気に30万円台回復まで買われましたが、新高値まで買われそうだと期待した人はどのくらい存在していたでしょうか。逆に今日は、25万4千円と大幅安となっていますが、このまま大きく下がり続けると心配している人はどのくらいいるでしょうか。
 その一方で、ごく一握りの、目先的に大幅高期待のある銘柄への買い人気はものすごく、ストップ高をつけるとそれだけで買いが集まり、買いが買いを呼んで連日のストップ高になる銘柄も珍しくありません。買われるきっかけが、大幅分割、新製品、増額修正の他、東急建のような単なる需給思惑など、それこそなんでもありというのも最近の特徴です。
 ちょうど今、かつての部下から電話があり、今日あたり何をすべきかと質問されたので、「どうもこうもないよ。どうしても何かしたいんだったら、ホソカワミクロンのストップ高にでも買いを入れたらどう」とはすっぱに答えてしまいました。

 目先的には思考停止状態、だからこそ中期的な構想だけはしっかり持っておきたいといのが、先週も申し上げた通り、現在の私の基本スタンスです。
 私の想像では、仮に今月中に日経平均が新高値をつけても、現在多くの普通の銘柄が抱えている方向感のなさ、まるでノレンに腕押しで、空中にふわふわ浮いているような手応えのなさ、割高にも割安にも感じられないという状態(不感症状態?)は変わらないのではないでしょうか。
 だとすれば、いよいよ金融相場の第2ラウンドに入ってきたことが確実と考えられます。金融相場の本領は深い懐疑と新鮮な期待による弱気と強気の激突ですが、時間の進行によって、懐疑も期待も風化し、相場波動は若々しさを失い、高値膠着に入りがちです。現在の相場状況は、まさにその商状を示しつつあるのではないでしょうか。
 金融相場の第2ラウンドでは、市場はますます個別企業の業績に神経質になり、銘柄のバリューや成長性の評価がますます重要なものになるはずです。その結果、一般的には、大型株より小型株のパフォーマンスがよくなるというのが、図式的ですが、私がかねてから抱いている中期構想です。

 書いているうちに、みずほは25万円を割れ、日経平均も176円安となりました。しかし、申し上げるまでもなく、目先は、多少のことなら何が起きようと、いちいち考えることは止めにしようという基本スタンスに変わりはありません。


第257回 価格流動の局面<10/29>

 9時半現在、日経平均は220円ほど上がって1万780円です。銀行ではみずほとUFJ、ハイテクではNECが高値に指呼の間に迫っており、急落からわずか1週間で驚くべき戻り具合です。
 現在の状況は、中期的にはステディ(堅固)だが、目先的には甚だしくフレキシブルという表現でおそらく説明できると考えます。
 平時の常識でいけば、先週のような急落の後は戻りにくい、もし急激に戻るとすれば一般的には相場はものすごく強く、そのまま新値更新に進むだろうし、万一新値更新できなければ逆に絶望的な天井感が発生しやすいと考えるべきでしょうが、今回の場合は、そういうふうにいちいち神経質に考えることが莫迦らしくなるほど、日々の動きが勝手気まま、悪くいえば錯誤だらけ、よくいえば自由自在という感じです。
 その感じはアメリカの相場も同じようです。一昨日の見送り薄商い商状の後に、あっと驚く半導体株の新高値が来ようとは。方向感が見定めにくいのは日本株以上かもしれません。

 ドイツ証券の武者氏は、米国経済の先行きに強い懸念を表明し続けています。毎月毎年、恒常的にたれ流される経常赤字の金額を見ていると、武者氏ならずとも、アメリカはどうなるのかと不安にもなります。それにアメリカは、90年代にあまりにもわが世の春を謳歌しました。10年の春の後に1、2年の秋があって、また春が来るというのは、ちょっと虫がよすぎるようで、その意味からも大いに不安です。アメリカ自国の投資家だって、NYダウが近い将来にたかだか20%ほど上の史上最高値を更新できると考えている人はきっと少ないでしょう。
 現にアメリカの市場には、夏以降、気迷い感や高値警戒感が濃密に漂い、特にここにきては沈滞感さえ漂っていました。ところが、それなのに、昨夜は半導体株の急伸により、ナスダック指数は今年の高値更新にあと一歩と迫ったのです。これはあくまで想像ですが、アメリカの投資家だって、素直に喜ぶより、面食らっている人のほうが多いのではないでしょうか。

 私はいうまでもなく、愚痴を書いているのではありません。日本株の急反発や米国の半導体株の急伸はこのうえなく嬉しいことです。
 しかし、申し上げたいのは、今日は高いとしても、だからといって明日も高いとか、逆に明日は危ないなんていうことは、今回の相場では考えないほうがよいだろうということです。
 現象面だけ見れば、いまの相場は、今日は今日、明日は明日の風が吹くで、それ以上のものは何もありません。その意味では、その日に買ったものをその日のうちに売ることを考える人のほうが、いまの相場にむいているのかとも思ってしまいます。
 しかし、目先的には方向感がまったく定まらず、明日のことを考えてもらちがあかないような今のようなときだからこそ、かえって中期的な視点で相場を見ることが重要だと思うのです。

 米国株の中期展望については、私はまったく定見がありません。ただ半導体株が今後も傾向的に上値を追うのなら、来年の世界のIT需要は相当に明るいものになるだろうと考えるべきだと思います。
 一方、日本株の中期展望については、相当に明るいものを基本想定にしておくべきだと考えます。米国の場合と逆に、10年以上にわたる冬がいつまでも続くと考えるのは弱気にすぎるだろうからです。
 いま午後2時。日経平均は140円高と値を保っていますが、朝高の銀行株が値を消し、やはり一本調子の上げは続きませんでした。一方、富士通が予想通りの赤字決算を発表しましたが、一瞬売られたあと急速に買われ、先日の東芝やソニーとは違った反応です。富士通の場合は、ハイテクの中では折り紙つきのボロ株認定度が強かったため、内需株同様にリバウンドのエネルギーが蓄積されているのではないかと考えます。
 いずれにしても、金融相場の第2ラウンドは、方向感がみえにくいまま、日々の価格の変動性はますます激しくなると予想します。


第256回 高値波乱<10/22>

 週明け早々の証券株の奔騰ぶりにはどぎもを抜かれました。大手証券までがまるでネット関連株のような勢いで上値を駆け上がりました。ネット関連の延長として松井などネット証券の人気をきっかけにした上げという論評がなされていますが、2部の在来証券もあっという間に2倍以上に上げたのですから、証券というセクター自体の上げと考えるべきだと思います。
 ネット関連株と証券株のこれまでの上げっぷりを考えれば、昨日の急反落も驚くに値しません。もっとも、このところ勧めていた大和証券は大まかには1000円目標だったのですが、欲が出て、ほとんど売り逃してしまいました。

 今朝、いま10時ちょうどで日経平均は81円安。みずほが279千円と大幅安になっています。
 正直いうと、証券株が急騰した一昨日、銀行株は安かったので、証券株から乗り換えたり、単純に買い増したりしてしまいました。ところが、昨日も下げ、今日は証券株以上の下げ率で、顧客に顔向けできない途中経過です。
 
 昨日今日の下げが、上げピッチの速さや市場が楽観に傾きすぎたことに対する警戒感のためだとすれば、考えるまでもなく銀行株がいの一番に調整の対象になることに早く気がつくべきでした。
 大手証券株は3日大幅高したといっても、4月安値からの上昇率は2.0〜2.8倍にすぎないのに対し、銀行の上昇率は5〜6倍に達し、しかもちょうど安値から半年という、ひとつの節目になりやすい日柄です。
 考えてみると、98年10月に風説の流布による信用不安で急落したさくら銀や富士銀が急反発したものの、戻り高値は1年後の約6倍でした。今回は、風説どころか著名人お墨付きの存続不安の中での深刻な下げでしたから、リバウンドも6倍が限度というわけでなくもっとあっていいと思いますが、上げピッチからは調整が当然という考えをもっともっと大切にすべきだったと反省します。

 前回、金融相場の第2ラウンド入りの推論を述べましたが、やや訂正します。
 訂正するのは、先週はやや楽観的なムードが台頭し、ミニ業績相場的な展開になるのではないかと考えましたが、今回の相場は結局どこまで行っても、強気と弱気が入り混じる展開が続くのではないかという点です。
 したがって、主力株で見た場合、今週のように値動き自体は次第に荒くなるものの、7月や9月と同じで、主力株の値動きが軽くなり、だれもが平均株価の一段高を期待した瞬間に調整が訪れ、上値が結果的には案外に重いという風景は基本的に変わらないのではないでしょうか。
 主力株や平均株価の上値が抑えられる分、ネット関連株をはじめとする成長期待や変身期待の高い小型株の値動きは、今後ますます激しいものになってくるものと予想します。

 前場の終わりは日経平均96円安。大勢的にはまったく変化がないと考えるものの、目先的には冬ごもり気味のスタンスでやっていくしかないと考えています。


第255回 金融相場の展望<10/15>

 いま日経平均は1万906円、NY高を受け今日こそは1万1000円突破かと思われましたが、押し戻されて60円安です。
 今回の相場は徹底してクールですよね。昔気質の証券マンや顧客が袖をまくり上げ、それ大相場がいよいよ始まるぞと熱くなり始めると、とたんに期待を裏切る動きになります。もっとも、ネット関連株のこのところの動きはまさに行け行けドンドンで、大相場といってもよい動きといえるものの、私を含めて多くの投資家は完全に置いて行かれています。

 今回の相場は、2種類の下げに対するリバウンドの意味を持っていると思います。1つはわが国の資産バブルの崩壊であり、もう1つはネットバブルの崩壊です。前者のリバウンドの象徴は低位株と銀行株ですが、昨年底の低位株の上げはすでに長く、この春底の銀行株の上げは率的には驚嘆すべきものになっています。したがって、ここにきて前者のリバウンドの一巡感が台頭するのは不思議ではなく、後者のリバウンドに投機人気が集中しているのを理解することも可能です。
 ネット関連株の強みは、なんといっても上値に絵を書きやすいということです。例えば普通の株で売上高が10倍になるといってもだれも信じませんが、楽天の売上高が○○年に現在の10倍になるといえば、たいていの人はそうかもしれないと思うでしょう。言い換えれば、ここにきてのネット関連株の人気化は、普通の銘柄の上値に対してなかなか絵を書きにくくなっていることから、値動きに躍動感がなくなってきたといことの裏返しの現象でもありましょう。

 例えば、証券株。多くの人が、相場がいいから証券株が上がるだろうと考えています。しかし、ここにきて、というより7月初め以来、証券株の値動きはいったいに振るいません。7月以来のパフォーマンスは、金融セクターの中で、銀行はおろか穏健株であるはずの損保にも遠く及びません。
 証券株のもたつきの原因は、バリュエーションにあると思われます。銀行株が業務純益のわりに株価が異常に低く、不良債権の償却さえなければそこそこの1株利益が出て、バリュエーションから割安感が生じるのに対し、証券大手は現在のような好環境の中でPER20倍前後の水準です。かつての市場なら、PER20倍は割安だという論理でどんどん買いが入るのでしょうが、現在の覚めた市場では、証券大手の適正株価は、巡航的な1株利益に対してせいぜい15倍程度と判断する人が多いのではないでしょうか。

 とはいえ、私はこのところ、証券株(特に売り出しに伴う相対的な出遅れ感から大和証券)を勧めています。
 それは以下のような考え方からです。
 推論1・・・・4月以来続いてきた上昇相場が金融相場(理想買い)の第1ラウンドだとすれば、現在は第2ラウンドに入りつつある。
 推論2・・・・第2ラウンドの開始早々では、熱気を伴って主力大型株が買われ、ミニ業績相場(現実買い)の様相を呈する。
 推論3・・・・しかし、主力大型株の天井は低く、早晩ボックス相場に移行し、次の本格上昇相場(業績相場)を待つ展開となる。
 すなわち、推論2の局面に備えるのには、証券株を補充しておくのが手っ取り早いと考える次第です。ただし、大きな上昇は想定せず、推論3の局面では、小型株の上昇が目立つ(もしかすると今もそうかもしれませんが)と予想します。

 以上は、あまりにも図式的な想定なので、必ずしもその想定にこだわらず臨機応変の立場をキープしておきたいのはいうまでもありません。


第254回 銀行株の逆襲<10/8>

 みずほの増額修正で、好材料出尽くし感から銀行株が大幅に反落しています。
 私も、みずほの30万円突破やUFJ、三井住友の50万円回復は、それぞれの巡航速度としての1株利益水準を2万円、3万円と見た場合に、簡易的な投資判断のうえからは一応の目標達成感が出たのではないかと考えます。
 しかし、銀行株の好材料が完全に出尽くしたという考え方にはまったく賛成できません。10数年間にわたって悪材料を出し続け、少なくともこの数年間はボロボロに売られ続けた銀行株が、ちょっとだけ増額修正して、それで好材料が出尽くしたなんて考える思考方法は、とうてい理解することができません。
 メガトレンドを軽視すべきではないと思います。かつて日本経済への警鐘として書かれた「日はまた沈む」を日本人の多くは鼻にも引っかけませんでしたが、その後10数年にわたって日本経済の萎縮と銀行が沈み続けるトレンドが続いてきたのです。いま日本人の多くは「日本経済と銀行に夜明けはない」とでもいうべき考え方にはまっていますが、もし「日はまた昇る」ほどではなくても、別のトレンドに入っているとしたら、半期の好業績で材料が出尽くしになるなんていうことはないでしょう。

 高杉良の作品に「日本興業銀行」という長編小説があります。名バンカーの中山素平を主人公にして、興銀が国策銀行だった大戦前から昭和45年くらいまでを非常に地味なタッチで書いているのですが、長期資金の供給という社会的使命感に燃えた人材たちが、お役所式にはまらず、自由闊達、言いたいことを言い合って仕事する行風に引きつけられます。
 その興銀とみずほFGを形成することになった第一勧銀や富士銀も、大財閥をバックにせずにそれぞれ日本のトップ・バンクになった実績があり、毀誉褒貶はあるものの、長年蓄積した企業基盤の潜在力はあなどれないはずです。
 今年4月に、みずほの株価が58300円の安値をつけたとき、時価総額はわずかに6430億円と規模で16分の1の地銀トップ並み、旧3行分で割れば、1行あたりは中堅地銀並みの時価総額に評価されたことになります。
 金融業の場合、通常の収益力は規模に比例しますので、規模で16分の1とか30分の1の銀行と同価値と見られるにつけては、投資家の胸の内で、不良債権によるロスの評価や存続への不安感で巨額のディスカウントがなされたからに他なりません。
 
 心理的にディスカウントされた株価は、もし不安が薄らげば、強烈なリバウンドにつながり、逆に楽観的なプレミアムさえつきます。
 税金の戻りなど一時的な要因の含まれた中間利益でPERをはじくのは問題外としても、半期5000億円の業務純益は年間ベースでは1兆円になり、その5倍(強気には国際水準の7倍)位の時価総額があってもおかしくはないという考え方も、楽観的には可能です。というより、旧3行の潜在力を考えれば、将来的にはそれでも評価不足という見方が台頭しないとも限りません。
 もし時価総額5兆円なら、株価は45万円です。

 これを書いているうちに、291千円までさがっていたみずほが307+3とプラスに転じました。つい最近まで銀行株はいったん下げ始めると、下げが下げを呼ぶ形で深押しになることが多かったのですが、株式市場での銀行株に対する評価が落ち着き始め、狼狽売りを限定的なものにしているのでしょう。
 中期的には銀行株の水準訂正余地はまだ大きいと考えますが、目先は調整が望ましいと考えます。したがって、ニチメン日商などについても当面は調整含みの展開を想定し、目先的には、新日鉄や中山鋼などに期待しています。


第253回 ハムレットのように<10/1>

 銀行株に買いが集まり、日経平均は1万200円台をキープして始まりましたが、買い一巡後は急速に伸び悩み、1万100円台に下落しています。
 今週は模様眺め気分が強まり、日経平均が急落してなおボロ株が乱舞した先週の水曜日が嘘のように出来高が急減しています。再生銘柄の株価上昇に大賛成の私ですが、ハザマの2日で2.8倍(24→67)やゾンビ株ともいうべき日本コーリンの同8倍(14→114)など狂ったようなボロ株漁りには首をかしげたくなりました。調整の到来は当然と思います。

日経ネットの「時節往来」で、武者氏と海津氏が弱気と強気に分かれてディベートを展開中ですが、読者の投票はいまのところ弱気の武者氏が68%と圧倒的な支持を集めています。
 私は強気に投票しましたが、弱気有利の途中経過に不満はありません。なにより恐るべきは、全体が一つの意見に偏ってしまうことです。特に、強気が猛烈な力で市場を席捲し、弱気意見がかき消されてしまうような熱に浮かされたような相場は、投資にとって大敵だと思います。10数年前のバブルもさることながら、95年の阪神大震災後の建設株フィーバーや2000年のIT株フィーバーは、参加した投資家のほとんどに瓦礫の山を残したに過ぎません。
 その意味では、今回の上昇相場は、7月初めや9月後半のように、市場に強気が増え、熱気を帯びるやただちに反落が訪れており、市場は全体としてつねに疑心暗鬼で、なかなか強気一方に傾かないという点で、まさに歓迎すべき展開になっています。
 長い下げ相場の後に始まった相場は、よく言われるように懐疑の中で育つのであり、楽天的であるはずがありません。ドン・キホーテのようには勇ましくも明るくもなく、ハムレットのように疑心暗鬼であらざるをえません。

 よく顧客から「どうなの、いまは売りなの? 買いなの?」と聞かれます。それに対して私は、「日経平均1万円を安いと思うなら買いだし、高いと思うなら売りでしょう」と木で鼻をくくったような答え方をしてしまいがちですので、顧客によっては不快感を感じているかもしれません。
 しかし、私のほうにも言い分があります。顧客に私は日頃から、現在が歴史的な上昇相場を形成中だと思っていることを口が酸っぱくなるほど述べています。いわば、現在は維新前夜であり、勤皇派と佐幕派がせっているところです。そのような歴史的な判断が問われているときに、大局は勤皇派(強気)有利だが、目先は佐幕派(弱気)有利かもしれないというようなチマチマした判断をすることにどのような意味がありましょうか。大局的な判断が強気なら、目先的な綾は二の次にして、自分がこれはと思う株を持ち続けることを最優先課題とすべきだと思うのです。

 たとえば、ニチメン日商。目先どうなの?って、この欄の読者からも問い合わせが来ます。しかし、私には目先の動きはほとんど予想できませんし、予想することにそれほどの必要性を認めていません。なぜなら、現在の相場がもし日本経済の転回を指し示す歴史的な意義を持った相場として進行していくなら、ニチメン日商は少なくとも危ない会社ではなくなるに違いない、とすれば普通の株価水準(50円額面の株価で100円以上、したがってこの銘柄の場合は1000円以上)にはなるだろうし、統合効果次第では1株利益300円を超えてもおかしくないので、さらに高い株価さえ期待できるというのが当初の考えであり、それを変更すべき新事態が生じたとは思われません。
 ところが、顧客の一部は売りではないかと相談してきます。顧客が売りたいと思う理由は、割高と判断するからではありません。ただ、自分の買値から2倍以上になったことや、上げたものは目先下がるかもしれないという本質的には投資価値の判定に無関係の理由からです。
 利食い千人力という言葉がありますが、もし利食ってキャッシュにするのなら、それなりに意味がありますが、単に買値から上がったので、売って別の銘柄に乗り換えるだけなら、気休めにしかすぎず、証券会社が喜ぶだけでしょう。

 ハムレットのような相場展開の中で、いちいちの株価の動きではハムレットのように迷わず、心をなるべく平静にして、日本経済はほんとうに再生するのかという質問に対する答えが出てくる日を待ちたいと考えます。


第252回 円高と不動心<9/24>

 いま朝の9時半、一喜一憂はしたくないと思いながらも、ニチメン日商が630円の壁に迫っており、さすがに株価を横目ににらみながら、これを書いて・・・・

 と、書き出したところで、630円がついてきて、20万株ほどあった売り物が買われ始めたので、一時中断しました。
 現在の相場に対応するうえで一番の問題は、円高をどう考えるかです。
 日本経済が評価されるから円高になるのに、日経平均が500円以上も急落してしまうのは皮肉なことですが、やむをえない面も多々あります。
 考えれば考えるほど、頭の中がぐちゃぐちゃしてきますので、今回はそれを少し整理してみたいと思います。

 まず、円高のマイナスを列挙します。
 @輸出企業の採算悪化→業績悪化
 A輸出減でGDPと景気に悪影響
 B輸入物価下落で、デフレ圧力
 C外貨換算の株価上昇→外人買い減少・利食い売り増加懸念

 このうち、因果関係がもっともはっきりしているのは、@の輸出企業の採算悪化でしょう。それ以外は、絶対にマイナス要因とはいえない面もあります。
 Aについては、よく知られているJカーブ効果で、短期的には輸出が増える場合もあり、必ずしもGDPに悪影響を及ぼさないかもしれません。
 Bについては、中小企業など一部の国内製造業にとっては深刻な問題であるものの、円高で安い品物が出回ったり、電気料金が下がったり、海外旅行さしやすくなることで、大多数の人々の気持が明るく弾む方向に作用すると考えるほうが、デフレマインドに沈み込むと考えるよりは自然ではないでしょうか。
 Cについては、それこそマイナスにもプラスにも考えられ、考えるだけ無駄です。世の中には、株価が上がったから売ろうという人と、上がっているから買おうという人がいて、上がったから心配だといっていたらきりがありません。

 以上のように考えると、円高はほんとうに株価にマイナスなのかと疑わしく思えます。
 過去の例を見ても、急激な円高は一時的には相場の下落要因になっているものの、その後に強い株価上昇を誘発しています。円相場が初めて1ドル100円台に急騰した1977年秋、80円まで急騰した1995年春はいずれも劇的な株の買い場となりました。
 それに対して、今回はいまのところ為替相場の水準が劇的に変化したわけではありませんから、現在を劇的な買い場と考えるわけではありません。ただ単に、円高は必ずしも株価にマイナスではないという視点を持っておきたいと思うのです。

 また過去のことで恐縮ですが、90年以降のリバウンド相場の中では、今回の相場にもっとも類似点の多い93年の場合、9月から11月にかけて、平均株価ではそれまで半年間で上げてきた分をそっくり下げてしまう急落に見舞われています。しかし、今度は逆に12月から1月のあっという間に、また元の高値水準を回復しています。
 申し上げたいことは、現在がおっかなびっくりの理想買いの相場であり、しかも上げ始めて5か月が経過したいま、下ブレがあったとしても驚くべきでないということです。
 実際にはなかなか大変なことですが、目先に一喜一憂せず、10年に1度の潮の変わり目に自分が立っているんだという覚悟を決めておきたいものです。

 68円高で668円まであったニチメン日商が前場終値で614円と、元の黙阿弥みたいな水準に押し戻されました。不動心、不動心と自分に言い聞かせています。


第251回 一寸先の闇そして光<9/17>

 先週に引き続き、「一寸先の闇」をモチーフに書かせていただきます。
 ほんとうは、「株価の無常」が第一感だったのですが、さすがに無常ではあまりのも線香臭くて、現在のダイナミックな相場にふさわしくないと思い直したのです。
 週明けの日本市場でみずほがストップ高したかと思えば、米国市場も前日とは打って変わった強さで高値引け。株価は我々の予想を超えて、これでもかこれでもかというほど明るい方向に変化しつつあります。
 4月頃にはメガバンクの1〜2行はギブアップ寸前と考える人がほとんどで、それに加えて年金代行売りで株価が上がるはずがないという弱気が充満していました。6月頃でさえ、日経平均が9000円台に乗ったというのに、日経平均の1万円は越えることが不可能な壁のように思う人がほとんどでした。
 今後への自戒も含めて、株価は移ろいやすいものだとつくづくに感じる次第です。

 株価が移ろう中で、我々はスタンスをどう定めていくものか、臨機応変がよいのか、初志貫徹がよいのかは非常な問題です。
 いちばん悪いのは、臨機応変のつもりが、株価に応じて感情が揺れ動き、その感情に行動が左右されてしまうことです。お客様の中でも、人気が出ると強気になり、不人気になると弱気になる人は、好成績を挙げられません。中には、あの人が投げたから相場は底だぞとか、あの人が買いにきたから天井だというような形で、逆指標になっている場合さえあります。
 次に悪いのは、初志貫徹というと聞こえはいいが、その実ただ頭が固いだけで、状況が明らかに変化しているにもかかわらず、判断を変えようとしないことです。このタイプのお客様や証券マンは、いいときはいいのですが、いったん曲がりだすと止めどもなく曲がりだし、修正がきかなくなりがちです。
 我々は、それらを他山の石にして、適度に初志貫徹、適度に臨機応変のスタンスを選んでいかなければならないのですが、その適度という点が大変に難しいところです。

 いま午後2時。日経平均は153円高と相変らず1万1千円台で堅調ですが、個別銘柄では、三菱東京、三井住友など下げに転じる銘柄も出てきました。ニチメン日商も50円安の561円と急落です。
 おおまかな感じとして、目先は先週終値606円を中心に580〜630円位の小幅なもみ合いを想定していたので、ややショックな下げで、調整が長引くと思われますが、基本的には静観したいと考えています。先週の上げが超短期資金によってかさ上げされていたとすれば、その反動が起こるのもやむをえません。
 昨日発売された四季報で、来期の1株利益は174円と前号より少なく表示されていますが、これは発行済み株数の増加によるものです。会社情報には、巻末1958頁に2,3年後の収益予想・計画という欄があり、各会社にアンケートした結果が記載されています。
 回答した会社が少ない中、ニチメン日商は05年3月期まで計画値を答えており、それによると1株利益はなんと350円になります。かつて日商岩井の発表する業績予想を信用するアナリストが少なかったという事情もあり、簡単にこの会社の計画値が市場に受け入れられることはありえませんが、現在の収益力にリストラ効果を考えれば、荒唐無稽の数字ではないと私には思えます。

 株価の一寸先はよくも悪くも闇です。期待感だけで浮かれていれば暗転もありうる反面、あまりにも悲観していれば、思いがけない光が差し込みます。
 我々はあまりにも経済の閉塞に慣らされました。ここにきて日本の景況と株価に対する期待感も一般化してきたようですが、まだまだ明るさには慣れていません。
 今日は結局、日経平均1万1千円の壁に押し戻された形で終わりました。今回の上昇相場は高値警戒感がつねにつきまとっており、上げ一方の強気相場にならないことは、相場の持続性のうえから大変に歓迎すべきことと考えます。

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