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第25回 2002年10月08日(火)


●農耕民族と株式投資
 日本民族は長い間農耕民族であった。士農工商と称して官吏(武士)が一番偉く、次に偉いのが農民であるとされていた。
 実質はともかく長い間、建前としてはそうなっていた。
 武士の俸給も何石何人扶持というように米で支給されていた。農業社会は原則として春に種をまき秋に収穫するといった季節循環的な作業に基づいて成立している。台風や干魃のような自然の脅威は避けることのできない与件として考えられ個人的な知恵や才覚は大自然の猛威の前では無力であった。
 「ギャンブル下手のお金持ち」これががラスベガスにおける日本人ギャンブラーの評価だそうである。
 原因は上記のような風土と300年もの長きにわたってこの国を支配してきた徳川幕府の統治システムにあると私は考える。
 我々の祖先は限られた土地、限られた収穫量の範囲の中で生きていかなければならなかった。そのために村落内の相互扶助が要求され、「和」が何よりも大事とされた。
 このコンセンサス同調、権威盲従型の思考パターンの残滓が日本人の相場下手、ギャンブル下手の大きな要因になっていることは間違いない。
 獲物を獲得するためには知恵を絞りあらゆる策略を弄する狩猟民族と儒教思想に飼い慣らされてきた農耕民族とでは欲と欲とがぶつかり合う相場の世界でどちらが有利かは自ずから明らかである。
●統計と確率に対する信頼
 上に述べたような理由で、これまで善良な市民と称される人、社会的にエリートと自他共に認めている人ほど相場が下手な傾向がある。
 逆説的に聞こえるかも知れないが厳然たる統計的事実である。これは複雑かつ多様な要因を反映して形成される相場の変動に対応し、その都度的確に判断し、決断するといった相場師的才能と、先人が確立した成果を学習する能力との差ではないかと思われる。
 相場の世界は儲けることが全てであり、それに至るプロセスは問題にされない。(犯罪行為は別として)きれいな儲け方も汚い儲け方もない。勝つことが全ての世界である。
 正確な理論づけはできなくても上がる株を上がると判断して買った者が勝者であり、いかに理路整然と解説しようと結果がそうならなければ負けである。
 株式投資の成否と投資家の人格との間に正の相関関係はない。ないどころかむしろ負の相関関係があるのではないかとさえ思えるのが現実である。つまり性格の悪い人間の方が儲けているのではないかと思われるフシがある。
 しかし、これは誰が考えても好ましい傾向ではない。やはり人格高潔な人に儲けてもらいたい。それを可能にするには従来の 発想を180度転換する必要がある。こと相場に関しては普通の人、いわゆる常識人であることをやめることである。
 権威あるエコノミストの意見、一流と称される新聞や雑誌に掲載されている識者の意見に無条件で従わないこと、疑問を持つことである。難解な理論を理解する能力があり、研究に膨大な費用と時間を費やしたからといって必ずしも株で儲かる保証はない。株で儲けるためには相場の本質を理解することである。相場の本質とは株価変動は確率変動であり、ジョージ・ソロスもいっているように「相場は常に間違っている」という認識を持つことが重要である。
 当たり前のことであるが株価というのは企業の細分化された価格である。価値ではない。物事の価値に立ち入ると永久に結論はでなくなる。このことは古代ギリシヤ以来、今日まで哲学者の不毛な論争を見れば明らかである。
 株価が価格である限りどのような変動形態をとっても不思議ではない。確率変動する価格を対象にし、収益をあげるには統計的手法を利用するしかない。確率と大数の法則を信じる者のみが確実に最終的な勝者になる。
●木を見て森を知る手法
これまでは森を見て木を知る方法(この場合の森は225平均に代表されるような株価指数)を解説してきたが、今回は個別銘柄の分析から入る売買手法について解説したい。

●急反転する確率の高い条件の設定法
今回の条件は極めて簡単です。
1)50日移動平均から当日の終値が30%以上下方乖離している。
2)100日移動平均から当日の終値が40%以上下方乖離している。
3)RJ指数がV字反転した。
4)直前100日間の出来高平均が3万株以上ある。
これを「J・P法株価分析」ソフトのワークシートを使うと下のように条件を入力するだけで十分。
●上記の条件で買いサインのでた翌日寄りつきで買い付けると、その後6ヶ月以内にどうなるか?

上記の表から分かることは、この買い付け法を用いると、買いサインの出た翌日の寄付き成り行きで買ったとしてその後60日(約3ヶ月)以内の平均上昇率は49.64%、60日以内に10%も上がらない失敗の確率は13.89%であるということが分かる。
さらに3割以上上昇する確率は61.6%もあり、その平均上昇率は71.1%もあるということになる。
上記の検証期間が相場の極端な低迷期であったことを考えると、この方法はかなり強力な買い付けの手法であことが分かるはずである。

このことは統計的に10回勝負して8回以上は勝てる可能性が非常に高く、かつ、勝った時の利益率もかなり高くなることを意味する
従って、それぞれ異なった合格銘柄を10銘柄に分散投資すれば100%近い確率で勝てるということになる。少なくとも統計的にはそうなる。

もう少し具体的に見ていきたい。下記のチャートは日経平均日足に今回解説した「逆張り買い条件」に合格した銘柄数を併記したものである。縦のバーは合格銘柄が10銘柄以上検出された日である。
単純に考えても統計的に86%以上の確率で成功するのであれば、10銘柄同時に買えば失敗する可能性はほとんどゼロになる理屈である。
更に念を入れ買値から3割下がった銘柄があれば、そのことを確認した翌日寄付きでナンピンするというルールを導入すればさらに成功確率は高くなるはずである。
次に合格銘柄が10を越えた日の合格銘柄と、その10銘柄を合成した合成チャートを見ていきたい。日経平均の動きと対比して頂きたい。
2001年1月12日の例
合格銘柄


合格銘柄合成日足チャート
この買いポイントは日経平均上で見ると下げ過程のダマシ(街のケイ線屋さんみたいであまり好きな表現でjはないが)に引っかかってしまったようなポイントであるが極端な逆張りの効用は上に見るように短期間で3割高をとることが可能になる。
2001年9月13日の例
合格銘柄

合格銘柄合成日足チャート
上の合成チャートは25銘柄もある。これでは資力の少ない投資家には買い切れない。どんな基準で5銘柄から10銘柄程度のポートフォリオを作ったらよいかは後で検討する。

2001年9月18日の例

合格銘柄


合格銘柄合成日足チャート

2001年9月28日の例
合格銘柄


合格銘柄合成日足チャート
今回は売りサインをより客間的かつ明確に表示するため下記のような条件を<J・P法株価分析>の(ワークシート)画面に入力してみた

2001年12月10日の例
割下を買い下がればOK(統計がそれを裏付けている)
合格銘柄


合格銘柄合成日足チャート

2001年12月17日の例
合格銘柄


上の合格銘柄のうち8874のジョイントだけ株価が高く、他の12銘柄は100円そこそこかそれ以下である。これは業績不安のある低位株が限界近く売り込まれたことを示唆している。このようなケースではバランス上の配慮から飛び抜けて値の高い銘柄は排除した方がよい。ジョイントを除いた12銘柄で合成チャートを作ることにする。

合格銘柄合成日足チャート

2001年12月18日の例
合格銘柄
2001年12月19日の例
○合格銘柄
合格銘柄合成日足チャート
2001年12月20日の例
○合格銘柄
合格銘柄合成日足チャート
コロンブスの卵
今回は簡単な逆張り必勝法について解説しました。
この方法の特徴は曖昧なところが一切ない点です。機械的に買い場がきまり、機械的に買い銘柄が選び出され、かつそれらの買い銘柄の売り場が機械的に決定されます。
こんな単純な投資法でも歴史的な下げ相場の過程で的確に売買のポイントを捉え、しかも全てのケースで30%以上の利益を危なげなくあげています。
現に<J・P法株価分析>のユーザーの方のうち何名かは忠実にこの手法を実践し、驚くような成績を上げている投資家がいます

よくテクニカル分析の解説書に、このパターンは売りであり、このパターンは買いである、といった解説がありますが、そのパターンはどんな時にも有効なのか、一定のルールのもとに売買した場合どの程度のパフォーマンスを挙げられるのか、といった検証をしている本を見たことがありません(拙著以外には)
どの本も例外なくといっていいほど自著の解説に都合のよい一握りの銘柄を取り上げ、独善的な解説をしているに過ぎないのは誠に嘆かわしいことです。

せっかくコンピュータを使って投資するのですから、合理的に統計と確率を信じ合理的に行動すべきであると思うのですがいかがなものでしょうか・・。

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